ジョルジュ・バルビエ 「タマラ・カルサーヴィナに捧げるアルバム」(表紙1)
George Barbier : Album dédié a Tamar Karsavina



MIDI:イーゴリ・ストラヴィンスキー 『ペトルーシュカ』より
Igor Stravinsky : Petrouchka




 「ペトルーシュカ」(初演1911年6月13日 シャトレ劇場(パリ)
 Petrouchka
 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
 美術:アレクサンドル・ブノワ
 振付:ミハイル・フォーキン



Tamara Karsavina in 'Petrouchka' (1911)


 謝肉祭でにぎわうサンクト・ペテルブルクの街。見世物小屋やいろいろな屋台が立ち並び、賑わっていました。
 そこに見世物小屋の親方(人形使い)が登場し、見世物小屋から三体の人形を取り出してきて、見せます。かわいいバレリーナ、彼女に恋をする風采のあがらないペトルーシュカ、たくましいムーア人です。
 ペトールーシュカがバレリーナに恋を打ち明けると、バレリーナは戸惑って逃げてしまいます。悲しみに打ちひしがれるペトルーシカ。
 一方バレリーナの方は、ムーア人に言い寄ります。2人に嫉妬したペトルーシュカはムーア人の部屋に飛び込み、おどしますが、逆に三日月刀をふりかざしたムーア人に追いかけられ、群集の集う広場に飛び出します。そしてムーア人の刀の一撃で、哀れにも殺されてしまいます。
 ショッキングな出来事に群集は騒ぎますが、駆けつけた親方が、ペトルーシュカを抱き上げ、それがおがくずのつまった操り人形だと見せて、群集を安心させました。
 祭りが終わり、広場には誰もいなくなります。親方は人形のペトルーシュカを抱えて見世物小屋に運ぼうとしました。その時、見世物小屋の屋根の上にペトルーシュカの幽霊が現れたのです。親方は肝をつぶし逃げ出しました。

 初演は1911年6月13日、パリのシャトレ劇場。真っ赤な頬紅をつけたかわいいバレリーナの人形をカルサーヴィナは踊りました。その時、タイトルトールのペトルーシュカを踊ったのはニジンスキーで、振付のフォーキンはカルサーヴィナとニジンスキーの演技を絶賛しました。

 下の写真は1928年のロシア・バレエ団の『ペトルーシュカ』の公演です。
 17年前と同じくバレリーナを踊ったカルサーヴィナに主催者のディアギレフ、そして退団したニジンスキーの3人のにこやかな写真です。
 けれど17年前とはすべてが変わっていました。
 1913年に、ロモラ・ド・プルスカと結婚し、ディアギレフの激しい怒りをかい、ロシア・バレエ団を解雇されたニジンスキーは、精神的に追いつめられ、1919年に発狂しました。
 この1928年の『ペトルーシュカ』の公演の時、ニジンスキーはカルサーヴィナもディアギレフも、何も識別できなかったのです。




Tamara Karsavina, Sergei Diaghilev and Vaslav Nijinsky(1928)