ジョルジュ・バルビエ 「火の鳥」
George Barbier : L'Oiseau de Feu



MIDI:イーゴリ・ストラヴィンスキー 「火の鳥」
Igor Stravinsky : L'Oiseau de Feu




 「火の鳥」(初演 1910年6月25日)
 L'Oiseau de Feu
 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
 美術:レオン・バクスト
 振付:ミハイル・フォーキン



Tamara Karsavina in 'L'Oiseau de Feu' (1910)


 『火の鳥』は、ロシア・バレエ団の第2回パリ公演(1910)の中心となった作品です。
 その前年の第1回パリ公演の際には、すでにできあがったバレエを上演していましたが、この『火の鳥』は6月4日に初演された『シェエラザード』と共に、ロシア・バレエ団が新たに創作したバレエでした。
 そして『火の鳥』は、20世紀もっとも重要な作曲家の1人ストラヴィンスキーをが、世界の舞台に初めて登場した記念すべき作品でもあるのです。当時ロシアでさえも無銘であったストラヴィンスキーは、この作品で一夜にして有名になりました。

 『火の鳥』はロシアの民話を元にした作品です。
 高い塀に囲まれた、金のリンゴの木のある魔法使いカスチェイの城。その金のリンゴを盗もうと、オレンジ色の輝きを放つ火の鳥が一羽、舞い降ります。
 ところが火の鳥は後をつけていた王子イヴァンに捕まってしまいます。火の鳥は逃がしてもらうために、自分の金の羽を差し出し、イヴァンは火の鳥を逃がしてました。
 火の鳥を逃がしたイヴァンの前に、今度は乙女達が現れ、その中にはひときわ美しく、身分の高そうな乙女がいました。その乙女は、イヴァンに、ここは恐ろしい魔法使いカスチェイの城で、すぐに帰るように忠告します。けれど彼女に恋したイヴァンは、立ち去ろうとはしませんでした。
 そこに魔物をしたがえたカスチェイが登場します。カスチェイはイヴァンに魔法をかけようとしますが、イヴァンは持っていた火の鳥の黄金の羽を高く振り上げました。
 するとそこに火の鳥が現れ踊りだします。そこにいた魔物達もつられて踊りだし、疲れ果て死んでしまいました。そして火の鳥は、イヴァンに聖なる金のリンゴの底へいたる根を示し、イヴァンはその中にもぐりこみ、大きな卵の入った箱を持ってきます。
 その卵こそ、カスチェイの魂でした。イヴァンがその卵を割ると、カスチェイは死に、魔法はすべて解け、イヴァンは恋していた乙女、実は囚われの身であった王女と結婚します。そして火の鳥は永遠に去っていくのでした。



Michel Fokine and Tamara Karsavina in 'L'Oiseau de Feu' (1910)


 イヴァンを振付をしたミハイル・フォーキン、火の鳥をタマラ・カルサーヴィナ、王女をフォーキンの妻ヴェーラ・フォーキナが踊り、カーテンコールでフォーキンはかつての恋人カルサーヴィナと妻ヴェーラを両脇に従えて、喝采を浴びました。
 28歳の若き作曲家ストラヴィンスキーも舞台に出て、何度もお辞儀をしました。そしてディアギレフがそのストラヴィンスキーの前に、フランスの大作曲家ドビュッシーを連れてきて、ドビュッシーはストラヴィンスキーの曲を絶賛したのでした。




Tamara Karsavina in 'L'Oiseau de Feu' (1910)