カール・ラーション 「熊手かき」 1894年
MIDI:ショパン ワルツ 第15番

Carl Larsson, Raking, 1894.
MIDI : F.Chopin, Valse No.15 in E Major.



 自分よりずっと背の高い熊手を持ったブリータです。
 ラーション家の4人女の子達は、姉妹なので似ていますが、スサンヌ、リスベット、シャスティはパパ譲りの金髪ですが、ブリータだけは、ママ似の茶色の髪をしています。

 金の髪と茶色の髪の姉妹で、思い出すのはローラ・インガルス・ワールダー著『大草原の小さな家』シリーズの、メアリーとローラの姉妹です。『大草原の小さな家』シリーズは、1870年代から80年代の、まだ開けていなかった時代の北アメリカの、大森林や大草原での開拓生活を通し、少女ローラとその家族を描いたした物語です。
 メアリーとローラ姉妹の下には、キャリーとグレイスという妹がいますが、第1巻『大きな森の小さな家』では、キャリーはまだ生まれたばかりでした。

 メアリーは金髪、ローラは茶色の髪です。『大きな森の小さな家』で、親戚のロティおばさんが訪ねてくるので、ローラとメアリーは、母さんに髪を巻き毛にしてもらい、おしゃれをします。
 メアリーは、ロティおばさんに「茶色の巻き毛と金色の巻き毛とどっちが好きか」と聞きます。「どっちも好きよ」とロティおばさんは言いました。
 けれどその夜、ちょっとしたことでメアリーとローラは喧嘩してしまい、メアリーはローラに「本当はロティおばさんは、あたしの髪の方が好きなのよ。金色の髪の方が、茶色の髪よりもすっときれいだもの」と言ってしまいます。
 ローラは荷にも言い返せなくなって、メアリーをひっぱたいてしまいます。ローラ自身も茶色の髪よりも金髪の方がきれいだと分かっていたのです。
 メアリーをぶったローラは、父さんにおしりをぶたれてしまいます。
 しばらくして、優しく声をかけ、ひざに抱き上げてくれた父さんに、ローラはメアリーをぶったわけを話して、聞きました。
「父さんは茶色の毛より金色の毛がすきじゃないでしょ?」
 父さんは、やさしくローラをみおろして言いました。
「そうさな、ローラ、父さんの毛は茶色だよ」
 ローラは、はじめて大好きな父さんの髪もひげも、ローラと同じ茶色なのだと気付きます。そして、茶色はとてもいい色なんだと思うのです。

 ラーション姉妹でも、特に年の近いリスベットとブリータなどで、ローラとメアリーのようなケンカはあったのでしょうか。私にも妹がいるので、幼い姉妹同士の小さな意地の張り合いや、愛情の取り合いに、せつなさと愛おしをとても感じてしまうのです。