カール・ラーション 「林檎の花」 1894年
MIDI:メンデルスゾーン 無言歌集第25番 作品62-1 「5月のそよ風」
Carl Larsson, Apple Blossom, 1894.
MIDI : F. Chopin, Nocturne No.9 Op.32-1 in B Major.
植樹したばかりでしょうか。ピンクの花を咲かせた若い林檎(リンゴ)の木をパートナーに、ラーションの幼い娘リスベットが踊るように抱きついています。
林檎の木といえば、ノーベル文学賞を受賞したイギリスの作家ジョン・ゴールズワージー
(John Galsworthy, 1867-1933) の有名な短編小説に『林檎の樹』(The Apple
Tree, 1916)があります。
イギリス南西部の美しい田園地帯デヴォンの春、美しい林檎の花が咲き乱れ、小川がせせらぎ、大学を出た主人公アシャーストはそこで、純粋で可憐な少女ミーガンと出会い、激しい恋に落ちます。彼女との結婚を決め、その準備に海浜保養地トーキーに行きますが、そこで友人に出会い、その美しい妹ステラに惹かれていきます。都会での生活を思い出し、結局ミーガンの待つ田舎には戻りませんでした。
二十数年の後、ステラと結婚したアシャーストは、銀婚式に思い出の地を訪れます。その十字路に小さな墓を見つけます。それは、アシャーストを思い続け悲嘆にくれ、小川で死んだミーガンの墓でした。
少女には永遠の夏、若者には一瞬の夏だった…。この『林檎の樹』は『サマーストーリー』というタイトルで映画化され、主人公をジェームズ・アイヴォリー監督の『モーリス』に主演したジェームズ・ウィルビーが好演しました。
この映画では、主人公フランク(小説ではアシャースト)とミーガンの間に生まれた子どもが登場します。ミーガンはフランクを思い悲嘆にくれながらも、自殺ではなくお産でなくなります。子どもに愛するフランクと同じ名前をつけて。
羊飼いになったその子どもと、フランクはすれ違います。フランクとステラの間に子どもはなく、フランクは、自分のたった一人の子どもの純粋な笑顔に、ミーガンの面影を見るのでした。
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