カール・ラーション 「田舎家」 1894-97年頃
MIDI:ビショップ 「埴生の宿」

Carl Larsson, The Hut, 1894-97.
MIDI : Henry Bishop, Home, Sweet Home.
MIDI提供:Reinmusik



 スウェーデンのの首都ストックホルムの北、ダーラーナ地方のファールンの郊外、スンドボーンに画家ラーションの家「リラ・ヒュッテネース (Lilla Hyttnäs) 」はあります。“Lilla Hyttnäs”とは、「小さな小屋」という意味です。
 この家は1833年に結婚した妻カーリンの父から、1888年に贈られた別荘でした。スンドボーン川の流れが湾曲する所に近接したフランス風の田舎家で、ラーションは初めてここを訪れた印象をこう語っています。

「世の中の騒音から遮断された、この田舎家にいるあいだじゅう、今までにない心地よさを感じました。義父は、近くの大きな土地をプレゼントしようと申し出てくれましたが、わたしはきっぱり断りました。わたしのような芸術家には、古い家具にかこまれた、つつましい、牧歌的な、このような家の方がふさわしいと思ったからです」

 「リラ・ヒュッテネース」は最初は、古臭い内装と家具のある家と、わずかなジャガイモ畑と9本ほどの白樺のある殺風景な庭だけで、ラーション一家は最初の数年は夏の間だけ使っていましたが、少しずつ手を加え、修繕し、自分たちらしい住み心地のよい場所にすると、1901年からはこの家に引越し、一年中を過ごすようになりました。