ファン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ 「皇妃マルガリータ・デ・アウストリア」
Juan Bautista Martínez del Mazo, The Empress Margaret of Ausutria, 1666.



 「皇妃マルガリータ・デ・アウストリア」(マドリード プラド美術館蔵)は、ベラスケスの作品ではなく、弟子で娘婿であるマーソが描いたもので、マルガリータが14歳の頃のものです。
 絵画を描いたマーソは、ベラスケスの絶筆となった「赤いドレスのマルガリータ王女」(1660)に手を加え、完成させています。

 この絵の前年1665年に、マルガリータの父フェリペ4世が亡くなり、そのため、この絵画では喪服を着ています。
 ベラスケスの絵の、華やかなドレスを身にまとったマルガリータと対照的です。
 この絵画が完成した1666年、マルガリータは14歳で、神聖ローマ皇帝レオポルド1世の元に嫁ぎました。




 この絵画の右奥に注目すると、4人の人物がいます。
 まず父の死で、4歳にして王位についた弟のカルロス2世。手には王の笏杖、胸には金羊毛騎士団章を吊るしています。
 その後ろにはマルガリータとカルロスの母で、カルロスの摂政を務めるマリアーナ・デ・アウストリア、さらに後ろにはカルロスの乳母らしい女性が控えています。
 そしてカルロスの横にいる、小さな女性の道化、彼女はベラスケスの名画「ラス・メニーナス」にも描かれた、マリ・バルボラでしょう。

カルロス2世
Carlos II
マリ・バルボラ
Mari Bárbola (Las Meninas)