フレデリック・ケイリー・ロビンソン 「青い鳥」 1911年
Frederick Cayley Robinson, The Blue Bird, 1911.


音楽:ジャック・オッフェンバック 「ホフマンの舟歌」
Jacques Offenbach, Barcarolle from "Les contes d'Hoffmann".





 チルチルとミチルが窓の外を見ていると、突然小屋の戸を叩く音がして、一人の醜い、腰の曲がったおばあさんが入ってきました。

「この家に歌を歌う草か、青い鳥はいるかね?」

「鳥ならあのかごにいるけれど…」
とチルチルが自分の鳥かごを指差すと、おばあさんは鳥をじっと見て言いました。

「だめだよ。この鳥は青くないからね。わたしが欲しいのは青い鳥なんだよ。おまえたち、これから青い鳥を探しに行っておくれ。わたしの娘が病気なんだ。その子のために幸せの鳥、青い鳥をさがしてきておくれ」

「でも、ぼくたち、青い鳥がどこにいるか知らないよ」

 するとおばあさんはダイヤモンドのついた小さな帽子を取り出し、チルチルの頭ににかぶせてくれました。
「さあ、チルチル、その帽子のダイヤをまわしてごらん」

 チルチルは言われたとおり、帽子のダイヤを回してみました。
 すると不思議なことがおこりました。

 醜かったおばあさんは美しいお姫様に変わりました。
 まずしい家の中はピカピカになり、みすぼらしかった家具は新しくなりました。

 柱時計の文字盤は目をパチリとして、ニコニコ笑いました。
 そしてふりこの扉が開いて、少女の姿の「時間」が次々と出てきました。
 「時間」の少女たちは手をつなぎあい、楽しそうに笑いながら踊り始めました。