アンドレ・マルティ 「青い鳥」 1945年
André E. Marty, L'Oiseau Bleu, 1945.


音楽:ガブリエル・フォーレ 『レクイエム』より 「ピエ・イエス」
Gabriel Fauré, Pie Jesu from 'Requiem'.






 チルチルとミチルは光の精と共に、空色の宮殿に着きました。
 ここは何もかもが青で、天井は青いトルコ石、柱は青く光るサファイアです。花や果物、家具もみんな青い色をしています。
 そこには空色の服を来た小さな子どもたちがいっぱいいました。遊んでいたり、かけっこしたり、眠っていたり、青い色の机で勉強している子どももいます。

「お砂糖とパンの精さん、犬と猫はどこへ行ったの?」
 チルチルは光の精に聞きました。

「みんなここへ来られないのよ。未来のことを知ってしまったら、言うことを聞かなくなるでしょう」

「え?ここはどこなの?」

「未来の国です。まだ生まれない子どもたちの国です。他の人には見えないけれど、帽子のダイヤのおかげで見えるのですよ。青い鳥もきっとここで見つかるでしょう」

「ここはみんな青いんだもの。きっと鳥だって青いよね」

 駆け回っていた空色の服の小さな子どもたちは、チルチルとミチルを見つけ、目を丸くして、めずらしそうな顔で集まってきました。

「生きてる子どもだ!」
「生きている子どもがきたよ」

「どうしてみんなぼくたちを“生きてる子ども”って言うの?」

 光は言いました。
「それはね。この子たちが生きてる子どもではないからよ。みんな生まれる時を待っているのです。私たちの世界に生まれてくる子どもたちは、みんなここから行くのですよ。みんな、ここで生まれる日を待っているのです」