計画通り…
So wie man denkt... (That's how life goes)
絵画:皇妃エリザベート
Empress Elisabeth of Austria
1953年8月、バート・イシュタル館に、馬車でバイエルン公爵夫人ルドヴィカと娘ヘレーネとエリザベートが訪れる。
そこには既に、ルドヴィカの姉でオーストリア皇太后のゾフィーが待ち構えていた。
客間に通されると、ゾフィーの息子、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフが彼女たちを待っていた。ここは、以前から用意されていたフランツとヘレーネのお見合いの席なのだ。
テーブルで紅茶を飲みながら、母親たちはおしゃべりに夢中、若い皇帝は黙ったまま。花嫁候補のヘレーネは緊張で固くなっている。そしてエリザベートは退屈しきっていた。エリザベートは、旅に出た父の代わりに連れてこられていたのだ。
ゾフィーは、常に自分に従順な息子に聞く。
「あなたの可愛い従妹は気に入って?」
フランツは母を見、そして再び従妹の方を見る。
「溌剌した女の子ですね…。本当に愛らしく、優しい目をしている…。それに苺のような赤い唇…」
ゾフィーは満足する。すべては計画通り…。
「僕は今夜の舞踏会は彼女としか踊らない」
それは婚約を意味する。満足したゾフィーは言った。
「それなら彼女をお誘いなさいな。彼女のところへ行って腕を取ってあげなさい」
言われた通りフランツは立ち上がり、従妹の方へ向かう。ヘレーネは微笑み、手を差し出すが、フランツは彼女の前を通り過ぎ、その隣のエリザベートの前に立った。エリザベートは呆然とし、目をぱちくりさせた。
ゾフィー、ルドヴィカ、ヘレーネは信じられないという面持ちで、2人を見つめた。
フランツは恋をしていた。従妹“エリザベート”に。
ゾフィー、ルドヴィカ、ヘレーネ、フランツ、エリザベート全員が歌いだす。
計画なんてなんになる
計画だけならうまくいく
でもそれはあくまで机上の空論
これだけははっきりしている
計画通り、考え通りには
いったためしがないってこと!
少女エリザベート
エリザベートの姉 バイエルン公女ヘレーネ
Helene of Bavaria, Elisabeth's older sister.
婚約まもない頃のフランツ・ヨーゼフとエリザベート
Franz Josef and Elisabeth soon after their engagement.
婚約時代のフランツ・ヨーゼフとエリザベート
Franz Josef and Elisabeth