エリザベート開けておくれ
Elisabeth, mach auf mein Engel
(Elisabeth, open up my angel)




絵画:フランツ・ヴィンターハルター 「皇妃エリザベート
Franz Xavier Winterhalter, Portrait of the Empress Elizabeth of Austria



 エリザベート、開けておくれ、私の天使。
 私だ、君の夫だ
 君に会いたい
 君のそばにいさせてくれ



 夜、一日の公務で疲れ果てた夫フランツ・ヨーゼフがエリザベートの寝室のドアを叩きますが、鍵がかかっています。
 机の上で書き物をしていたエリザベートは「そっとしておいて」と開けようとしません。エリザベートは姑ゾフィー大公妃が、エリザベートの幼い息子ルドルフを折檻したとフランツに訴えますが、「母は教育しようとしただけだよ」と取り合いません。
 エリザベートはついにドアを開け、夫に自分を選ぶか母を選ぶか最後通牒を突きつけるのでした。
 再びドアは閉ざされ、去っていくフランツ・ヨーゼフ。


 突然、エリザベートの寝室に死(トート)が現れます。


 エリザベート、絶望することはない。
 静かに、私の腕で休むんだ。
 私があなたを慰めてあげよう。
 逃げるんだ。そして自由になるんだ。
 もっと素敵な世界に連れていってあげよう。
 エリザベート!私は君を愛している



 けれどエリザベートはその誘惑を拒絶しました。


 いやよ!私は生きたいの。
 あきらめるには、私はまだ若すぎるわ。
 自分の力で自由になれる。
 行って!
 私はあなたなどいらない!必要ないわ!
 行って!




1860年代のエリザベートの写真