闇が広がる
Die Schatten werden länger
(The shadows grow longer)
絵画:ゲオルク・ラープ 「16歳の皇太子ルドルフ」
Georg Raab, Crown Prince Rudolf of Austria.
エリザベートの息子、皇太子ルドルフは7歳まで厳格な祖母ゾフィーによってハプスブルク家の方針により育てられました。それは厳しい、軍事教練まがいのスパルタ式教育でした。そんな教育のせいで、幼いルドルフは心と体を痛めつけられ、虚弱体質で神経過敏な子どもとなりました。
救いの手がのびます。祖母の教育方針に不満を抱いた、母エリザベートが、父フランツ・ヨーゼフを説得したのです。そして7歳以降のルドルフの教育方針は一転し、母が選んだ自由主義思想を持った教師たちにより、教育を受けるようになります。
自由主義に深い影響を受けたルドルフは、次第に貴族に対する批判を抱いていきます。
そのためルドルフは父フランツ・ヨーゼフ1世の保守的な思想と対立するようになり、2人の間には口論が絶えなくなります。
同じ自由主義思想を持った母エリザベートなら、ルドルフの良き理解者となり、父フランツとの間も取り持つことができたはずなのに、エリザベートはウィーンを嫌い、旅行することが多かったため、残されたルドルフは1人追い詰められていきます。
そんなルドルフの前に、少年時代に現れたトート(死)が再び現れます。
トートとルドルフは歌います。
闇が広がる
それなのに、人々は目も見えず、口も聞けないまま
ネズミ取りの男の笛の音が聞こえるにも関わらず、
金の牛のまわりを踊り狂っているだけ。
闇が広がる
トートは世の中を憂うルドルフに、皇帝になるよう吹き込みます。
破滅に抵抗しなければ
闇が広がる
ルドルフが皇帝となって
時代に立ち向かうのだ。
16歳頃
18歳頃
父フランツ・ヨーゼフと共に 7歳頃 1865年
Crown Prince Rudolf with his father Emperor Franz-Joseph in 1865.
ルドルフはたいへんな狩猟好きでしたが、それは父譲りだったのでしょうか。
この仲の良い親子が後に、激しく対立するようになります。
どちらもお互いを深く愛し、大切に思っていたのに。
狩猟服の皇太子ルドルフ 16歳頃 1874年
Kronprinz Rudolf im Jãgeranzug, 1874.
この写真に、ふと『車輪の下』のハンス・ギーベンラートを思い出しました。
愛犬と共に
馬上のルドルフ 1876年
ルドルフは犬を可愛がり、乗馬を好みました。
それは母エリザベート譲りでしょうか。
ルドルフは父フランツ・ヨーゼフより、母エリザベートにあらゆる面で似ていました。
軍服姿のルドルフ皇太子 18歳頃 1876年
Crown Prince Rudolf of Austria, 1876.
ルドルフ皇太子 19歳頃 1877年
Crown Prince Rudolf of Austria, 1877.
1880年、ベルギーのシュテファニー王女と婚約したルドルフ。
エリザベートとフランツ・ヨーゼフ、
シュテファニーの両親、ベルギー国王夫妻とともに。
The official engagement picture of
Crown Prince Rudolf and Princess Stephanie of Belgium in 1880,
with Princess Stephanie's parents.