わ ら い 詩:金子みすゞ 金子 みすゞ童謡集「わたしと小鳥とすずと」より それはきれいなばらいろで、 けしつぶよりかちいさくて、 こぼれて土に落ちたとき、 ぱっと花火がはじけるように、 おおきな花がひらくのよ。 もしもなみだがこぼれるように、 こんなわらいがこぼれたら、 どんなに、どんなに、きれいでしょう。 ※ ※ ※ ※ ※ 26歳の若さで亡くなった童謡詩人金子みすゞさんの優しい詩です。 お花畑が大好きです。 春のチューリップ畑に菜の花畑、夏のひまわり畑、秋のコスモス畑、北の国 のラヴェンダー畑。 みすゞさんなら、れんげ畑とたんぽぽ畑でしょうか。 “みんなちがって、みんないい。” みすゞさんの詩は優しくて、ぽかぽかの太陽の暖かさを持っています。 同時にアンデルセンの『絵のない絵本』の世界中を旅して、様々な人々を見 続ける月の、優しい悲しみも。 詩集「わたしと小鳥とすずと」(JURA出版局)の、矢崎節夫さんのあとがき には、みすゞさんの詩は“みすゞのいのり”と 書かれていました。 ああ、そうだなあと、とても感動してしまいました。 「わらい」もとても美しいいのりです。 小さな女の子が、その小さい手を合わせて祈ったような、優しいお祈り。 きれいなきれいなお花畑が、全部やさしいわらいだったら、どんなに、どん なに、きれいでしょう。 |