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  アナザー・カントリー

1984年/英/91分
製作:アラン・マーシャル
監督:マレク・カニエフスカ
脚本:ジュリアン・ミッチェル
撮影:ピーター・ビジウ
編集:ゲーリー・ハンプリング

キャスト
ガイ・ベネット:ルパート・エヴェレット
トミー・ジャド:コリン・ファース
バーコート:ケーリー・エルウィズ
バークレー:マイケル・ジエン
デラヘイ:ロバート・アディ
デヴェニッシュ:ルパート・ウェンライト
ファウラー:トリスタン・オリヴァー

STORY
厳格な規制のもと完全な英国紳士を育てるパプリッ ク・スクール。そこで 立派な成績で最終学年を迎えようとしていたガイ・ベネット。けれど別寮の美少年ハー コートに恋をしたことから、 同じくエリートの道を歩んでいる寮友に利用され、将来を約束された、校の代表に選 ばれなかった。復讐に燃えるガイ は親友ジャドの共産主義に傾倒し、祖国を裏切るスパイとなる。


映画使用曲
ホルスト 「マイ・カントリー(祖国よ、私は誓う)」 交響組曲「惑星」の『木星』から





実在のソ連のスパイをモデルにした問題作品です。

1983年モスクワ。
アメリカ人ジャーナリストが、年老いたガイ・ベネットにイン タヴューをします。
ガイは、祖国 イギリスを裏切り、ロシアに亡命しているスパイでした。
エリートだった彼が何 故スパイになったのか?インタビュ アーを前に、彼は青春の思い出を話しはじめます。
それは1932年、ガイがパプリック・スクールで最終学年となった時の出来事でした。

実在のスパイの物語というと堅苦しく思いがちですが、いつの間にかそんなことを忘 れてしまい、 パプリック・スクールという閉鎖された少年の世界に酔い、主人公ガイ・ベネットを 演じたルパート・エヴェレットの美しさ に心を奪われました。

舞台が過去になり少年時代のガイが登場します。
上流階級の選ばれた者しか入学できない、歴史と伝統を重んじたパブリック・スクー ル。
第一次大戦で戦死した卒業生を讃える追悼礼拝式から始まります。

祖国を讃える歌を合唱する生徒達。
その中にとても目立つ少年がいました。
ギリシャ彫刻の若い神のように気品ある整った顔だちに、長い睫に縁どられた、深く 印象的なダークブラウンの瞳 は夢見るようと表現するには精悍で、額に溢れる栗色の巻毛に、高く通った鼻筋、少 し不満げな口元、背は高く美少年と美青年の狭間にいて、 パブリックスクールの制服を少し着崩して誰よりも素敵に着こなしていた、とてもと ても美しい人。
それが若き日の ガイ・ベネットでした。

美しいだけでなく、成績も良くスポーツも万能で活発な彼は学校を支配する生徒達の 自治会エリート・メンバー “ゴッド”に選ばれるはずになっていました。そして、ゆくゆくは外交官となり、パ リ駐在大使になるというエリート・ コースを順調に進む未来が約束されていたのです。
ところがその追悼礼拝式で、彼は別寮の金髪の少年ハーコートに一目惚れしてしまい ます。

寮対抗のクリケットの試合で、ガイは審判をつとめ、明らかなえこひいきで試合に出 ていたハーコートを有利にし、勝たせます。
ハーコートは青空のような朗らかな笑顔になり、それを眩しそうにガイは見つめます。
そしてハーコートの心もまたガイへと向かいます。

一方ガイにはトミー・ジャドという親友がいて、彼もまたずば抜けて頭がいいものの、 レーニンの共産主義に傾倒し、 ガイのブルジョワ思考を軽蔑していたものの、ガイを憎めず好きでした。

そんな時、ガイの同僚の学生が、同性愛の現場を目撃され羞恥心から自殺するという 事件がおこります。
この事件で校内には不穏なムードが漂います。
特に自治会のメンバーは動揺します。自責の念にかられた寮の責任者バークレイ。一 方、デラヘイは、 与えられた特権を活かして、生徒達に尊大に振る舞います。そんな二人を巧みに操り、 地固めを進めるのがメンジース でした。
またガイと仲の悪い軍国主義者のファウラーは寮の風気が乱れきっていると息まいて いました。
そのファウラーに、ガイがハーコートに送った手紙が渡ってしまい、ガイはファウラー に屈辱の鞭を受け、ここぞと ばかりにそれを利用したメンジースらによって、ガイは“ゴッド”のメンバーにはな れなくなってしまいます。
輝いていたはずのガイの未来が閉ざされたその瞬間から、彼の心には冷たい復讐の炎 が根ざし出します。ジャドの思想に感化され ていた彼は、それを使って、スパイという反撃の道を選ぶのでした。

まだ10代だというのに、その時点で既に将来の出世争いをする少年達。
人を蹴落とすことも、利用することも、既に大人並みです。
そこに醜さを感じながらも、何代にも渡って使われた上等な家具のように、磨き込ま れて黒光りするようなイギリスの 伝統と格式に、惹き付けられてやみません。

ガイもまた祖国を憎み裏切りながら、ソ連に住む年老いた彼の机には、学生時代の集 合写真、ジャドと一緒の写真、 そしてハーコートの写真があります。
憎み、そこを離れても、心はいつも、もう1つの祖国を思い続けているのでしょう。


私にとってこのガイを演じたルパート・エヴェレットほど美貌に圧倒された俳優はい ませんでした。
ギリシャ神話のように美しい人が本当にいるのだと、そして手の届かないエリートで (実際のルパート・エヴェレットも 中産階級の上という名門の育ち)、溜息が出ました。
もし私がギリシャ神話に出てくる女神なら、間違いなく彼を天上界へとさらっていま す。
当然のことながら拒絶を受けて、泣きながら彼の上に雷を落として殺してしまい、彼 を美しい花か星座にするのでしょう。

“ゴッド”に選ばれず、鞭打たれた痛みを堪えつつ、ガイはジャドに言います。

「生涯女は愛さない」

思わず心の中で拍手してしまいました(^-^;)
このきれいな人は、どんな女性の物にもならないのだと。

その後にガイが言う言葉も素敵です。

「共産主義も悪くないな」

その後のソ連の崩壊を思う時、ガイはもう一方の祖国に裏切られたと、悲しみを覚え ます。
「もう1つの祖国」の裏切りほどは彼を苦しめなくても。