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  ファニーとアレクサンデル

1983年/5時間11分
スウェーデン・フランス・西ドイツ合作
監督・脚本:イングマル・ベルイマン
編集:シルヴィア・インゲマーション
撮影:スヴェン・ニイクヴェスト
音楽:ダニエル・ベル

キャスト
アレクサンデル:バッティル・グーヴェ
ファニー:ペルニッラ・アルヴィーン
ヘレナ(祖母):グン・ヴォルグレーン
エミリー(母):エーヴァ・フレーリング
ヴェルゲレス主教:ヤン・アルムシェー

STORY
スウェーデンの巨匠イングマル・ベルイマン監督 の最後の作品で。5時間に 及ぶ大作。プロローグトエピローグ、5つの章からなる構成で、スウェーデンの伝統 的な大学街で暮すブルジョワ一族 エクダール家の人々(かつての大女優ヘレナと3人の息子たち、その褄、孫など)が 織り成す人間模様を、1907年の クリスマスから2年間にわたって描いている。タイトルは孫たちの名前。



5時間にも及ぶ長編映画ですが、美しく幻想的で、文学的な作品でした。
スウェーデンのプルジョワ家庭エクダール家の豪華なクリスマスパーティから物語は 始まります。
豪華な晩餐、大きなクリスマスツリー。ツリーを囲んで、老人から子ども、メイドま で全員が手を取り合ってダンスを 踊ります。
クリスマス劇、幻燈、暖かい暖炉の炎、外国の絵本やクリスマスカード、バレエの 『くるみ割り人形』のような、これだけ美しいクリスマスの 風景を描いた映画を初めて観ました。

楽しいクリスマスの後、一族の長男のオスカルが急死したことで、幸せな一族に変化 が訪れます。
オスカルの死後、妻のエミリーが、常に相談に乗ってくれたヴェルゲレス主教と再婚 し、子ども達アレクサンデル とファニーの兄妹を連れてエクダール家を出て、主教館に移ってしまったのです。

赤やオレンジの暖色系だったクリスマスパーティの風景が一変して、青と白、灰色の 寒色系の古い石造りの主教館へ 舞台は移ります。
15世紀に建てられたというその館は、石やしっくいがむきだしで、寒々と まるで牢 獄のように見えます。
結婚式の日、アレクサンデルは父の亡霊を見ます。
主教は華美を嫌い、エミリーのドレスや宝石はもちろん、子ども達の絵本や玩具まで 持ってくることを禁じます。

ファニーとアレクサンデルは最初から反発を持っていたものの、不味い食事に子供部 屋にまで鉄格子があるのに、 ますます主教と館に反発を覚えます。

12歳位のアレクサンデル少年が素晴らしいです。
真っ黒な大きな瞳は澄み、夢見るようで、とても美しい少年です。
子供部屋に閉じ込められた彼は神に向かって一心に父である主教の死を願います。
パンを持ってきたメイドにアレクサンデルは、死んだ主教の先妻と娘達は食物も与え られず監禁され、逃げようとして 川に落ちたと言います。
そしてメイドが密告したため、アレクサンデルは主教にムチで打たれます。
アレクサンデルの言葉は本当か作り話か、アレクサンデルは主教の娘達の幽霊を見ま す。

母エミリーは祖母ヘレナにアレクサンデルと主教の不仲を相談に来て、結婚は不幸な ものだと告げます。けれど主教の 子どもを身ごもっているため家を出られないと。

ヘレナの心配を見た彼女の古い友人イサクが、主教館から子ども達を大きな衣装箱に 隠して連れ戻します。
一方主教館に残った母エミリーはノイローゼ気味で睡眠薬を利用していましたが、偶 然に主教がそれを飲んでしまい、 その機会を逃がさず、子ども達のいるエクダール家へ戻ります。
その頃、主教館では、ランプが倒れて火の手があがり・・・。

長い長い映画でしたが、観終わった後の余韻が素晴らしくて、壮大な長編文学を読み 終えた気持になりました。
とても寒いスウェーデンという北欧の国の、伝統の暖かさと寒さを同時に味わったよ うな気がします。
救いになるはずの教会がとても寒々としていて、俗世の、しかも大金持ちの家庭が暖 かさに満ちているのが皮肉です。

この映画は一族という大きなものを描いていますが、私が惹かれたのはアレクサンデ ルを中心とした子どもの世界 です。
子どもの中の幻影と悪夢を描いていて、どちらも限りなく美しく、 惹き付けられました。
アレクサンドルの見る、暖かい世界の人形劇や幻燈、冷たい世界の幽霊は同時に幻想 的で美しかったです。

エピローグはまた楽しいクリスマス。
北の大地に暖かさを感じると同時に、人生ってそう悪くないと思える素敵なお話でし た。