絵画：イダ・レントール・アウスウェイト　「エルフとフェアリー」５
MIDI：サン＝サーンス　白鳥（動物の謝肉祭より）

Ida Rentoul Outhwaite,　Elves & Fairies 5.
MIDI : Camille Saint-Saens,　The Swan (Carnival of the Animals) .
MIDI提供：Bench Time様

イダ・レントール・アウスウェイトの可憐な妖精の絵を見て思い出しましたが、20世紀初頭のイギリスで２人の少女が妖精の写真を撮ったという事件がありました。 　それは、1917年７月、ヨークシャーのコティングリー村（Cottingley）、10歳のフランシス・グリフィス（Frances Griffiths）が、滞在していた親戚の家の従姉で13歳のエルシー・ライト（Elsie Wright）と、近くの森や小川で遊ぶうちに妖精と出会い、エルジーの父のカメラで妖精を写したというものでした。 　最初は子どもの悪戯だと思われていた写真ですが、1920年になってその写真がある有名な作家に渡ったことから、論争が起こります。その作家とは、名探偵シャーロック・ホームズのシリーズを書いたアーサー・コナン・ドイル (Arthar Conan Doyle 1859−1930) でした。 　彼はこの写真を本物と信じ、写真の鑑定もさせた結果、二重写しではない本物だと証明されました。そしてドイルは、スコットランド・マガジン誌（1920年　クリスマス号）に発表したのです。この記事は、賛否両論の大反響を呼びました。 　けれどその事件は、ドイルの死後、次第に忘れられていきましたが、1984年、少女の１人エルシー・ライトがテレビのインタビューで、自分たちが撮った５枚の妖精の写真は１枚をのぞいて、自分が紙に描いて色を塗ったものを切り抜き、長い帽子のピンで留めてキノコの上に刺し撮影したものだと告白し、半世紀にわたる事件は解決してしまいました。 　この少女と妖精写真について映画化したものが、美しい映像で撮られた『フェアリーテイル』 (Fairytale, 1988) です。因みに、コナン・ドイルを演じているのは名優ピーター・オトゥールです。 　コティングリーの妖精の写真はエルシーの証言により本物ではないことが分かりましたが、そのエルシーも５枚のうち１枚だけは偽造ではないと証言し、エルシーよりも幼かったフランシスはずっと妖精を信じ続けたそうです。

フランシスと踊る妖精たち（1917年７月　エルシーが撮影）
Frances and the Dancing Fairies (Photo taken by Elsie Wright, July 1917.)