絵画:ウォルター・クレイン 「ブラックベリー」 『ヘンリー四世』より
MIDI:作曲者不詳 13世紀イギリス舞曲 “The English Estampie”

Walter Crane, Blackberry from "Henry IV".
MIDI : anony, The English Estampie.
MIDI提供:Sketch




FALSTAFF
Give you a reason on compulsion?
If reasons were as plentiful as blackberries,
I would give no man a reason upon compulsion, I.
.

          (1 Henry IV, Act 2. Scene 4. by William Shakespeare)

フォルスタッフ
無理強いして理由を言わすのか?
理由はブラックベリーの数ほどあってな、
無理強いされたんじゃ、理由一つだって誰にも言うもんかい、おれは。
         (ウィリアム・シェイクスピア 『ヘンリー四世 第1部』 第2幕第4場)


 『ヘンリー四世 第一部』、大酒飲みの太った騎士フォルスタッフは大ぼらを吹いて、仲間に問い詰められ、上記の「ブラックベリーの数ほどたくさんある」と言っています。
 イギリスでは、境界とするためにブラックベリーの種をまきつけ、大量に増やした時期がありました。シェイクスピア(1564-1616)が生まれる少し前の詩にも、「ブラックベリーやノバラの種をまいて垣根を作れ」と書かれてます。

 『ヘンリー四世』は、ランカスター家の王ヘンリー四世(在位 1399-1413)を描いた、ニ部に分かれた長大な歴史劇で、で第1部の初演は1598年、第2部は1959年です。
 太った大ぼら吹きの騎士フォルスタッフは、シェイクスピアの初稿では、オールドカースルという名になっていました。オールドカースルはヘンリー四世に仕えた実在の騎士で、宗教改革者として有名な人物で、フォルスタッフとはまったく対照的な人物でした。なぜ対照的な人間に書こうとしたかは、シェイクスピア流の皮肉だと思われますが、オールドカースルの子孫から、抗議を受けたため名前を変えざるをえませんでした。


Joseph Kinny Meadows. Falstaff and Mistress Quickly, 1869.




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