絵画:ウォルター・クレイン 「サンザシ」 『ヘンリー六世』より
MIDI:作曲者不詳 13世紀イギリス 「夏は来たりぬ」
Walter Crane, Hawthorne from "Henry VI".
MIDI : anony, Sumer is icumen in.
KING HENRY VI Gives not the hawthorn-bush a sweeter shade To shepherds looking on their
silly sheep, Than doth a rich embroider'd canopy
To kings that fear their
subjects' treachery?
(3 Henry VI, Act 2. Scene 5. by William Shakespeare)
ヘンリー六世
無心の羊の群れを見守る羊飼いに
サンザシの茂みが与える木陰は、
臣下の裏切りを恐れる王に、豪華な刺繍で飾られた
天蓋が与える憩いよりも心地よいのではなかろうか。
(ウィリアム・シェイクスピア 『ヘンリー六世 第3部』 第2幕第5場) |
ヘンリー六世(在位 1422-1461)
KING HENRY VI
『ヘンリー六世』三部作(初演1591-1592)は、ランカスター家の王ヘンリー六世(在位
1422-1461)を描いた歴史劇で、ランカスター家とヨーク家の争い、それぞれの家の紋章が赤い薔薇と白い薔薇であったため、薔薇戦争と呼ばれた戦いを描いています。
第1部のイングランド軍とフランス軍の戦いでは、フランスの救世主ジャンヌ・ダルクが登場し、第2部、第3部には、『リチャード三世』に引き継がれていく、ヨーク家のエドワードとリチャード(後のエドワード四世、リチャード三世)が登場します。イングランド側から描いた物語なので、ジャンヌ・ダルクは聖女どころか、妖術を使う魔女風に描かれているのが、当時はこんな風に伝えられたのだと、なかなかおもしろかったです。
第三部では、ヨーク家側が勝利をおさめ、ヘンリーは自分の死後、王位を譲り渡すことを約束させられます。そんな王をふがいなく思い、フランスから嫁いできたマーガレット王妃とランカスター家の貴族たちは、王を無視してヨーク側に兵を起こしました。
ヘンリー王は戦争の合間、王であるよりも、羊飼いの方が幸せだと嘆くのが、上記のセリフです。
文学の中に出てくるサンザシの花といえば、フランスのマルセル・プルースト著『失われた時を求めて』がもっとも印象に残っていますが、シェイクスピアの作品の中でも、この『ヘンリー六世』や、『夏の夜の夢』などに、美しく登場しています。
ランカスター側は一旦は勝利しますが、次の戦いではヨーク側が勝利し、ヘンリー王の皇太子エドワードは殺され、ロンドン塔に幽閉されていたヘンリー王もまた、ヨーク家のリチャードによって殺されてしまうのでした。そして王位はヨーク側へと行くのでした。
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作者不詳 『ヘンリー六世』より 「ジャンヌ・ダルク」
anony, Joan of Arc from "Henry VI", c.1860.
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