鈴木春信 「見立夕顔(みたてゆうがお)
MIDI:バッハ フランス組曲第3番 BWV814  ジーグ
Suzuki Harunobu (1725?-1770) Mitate-Yugao.
MIDI : J.S. Bach, Franzosische Suiten n.3. BWV814, Gigue.



 紫式部の『源氏物語』の「夕顔」を原典とする見立絵です。
 天皇の第ニ皇子光源氏は重病の乳母を見舞いに来ますが、その隣家に綺麗な花が咲いていて、欲しいと思っているところ、その隣家から童女が扇にその花を載せて出てきます。
 その花が夕顔で、花がきっかけで、その屋敷に住む美しい女主人と知り合った光源氏は、その女性を「夕顔」と呼びました。

 春信は扇を持ってきた童女と光源氏の従者のやりとりを、当世の恋する男女に置き換えて描いています。
 男の羽織には『源氏物語』に由来する源氏香文(こうもん)という図案が配されていて、子どもの持っている虫かごは、光源氏が乗ってきた牛車の形をしています。
 この絵は元々絵暦だった版を、版元が買い取り、暦と分かる部分を削って販売したものです。