菱川師宣 「見返り美人図」
MIDI:リスト 愛の夢 第3番
Hishikawa Moronobu (1618-1694) Beauty Looking Back, 1688-94.
MIDI : F.Liszt  Liebestraum No.3 in A flat major S.541-3



 菱川師宣(1618頃-1694)は、江戸時代前期の浮世絵師です。名は吉兵衛、号は友竹です。
 師宣は安房(あわ)国(現在の千葉県南部)の縫箔師の子どもとして生まれ、江戸に出てきました。
 彼はそこに息づく人々の活気に魅了され、絵筆を取ります。
 師宣はこの江戸で土佐派、狩野派を学んだと推察され、挿絵画家として活躍した後、初めて一枚絵で鑑賞する版画の形式を確立しました。
 なめらかな線でいきいきと描かれた師宣の美人像は人々を魅了し、「菱川のやう(様)の吾妻俤(あずまおもかげ)」(師宣の描く美女こそ江戸女)と、俳諧に読まれるほど人気を博しました。
 師宣は工房による肉筆画の製作を主宰し、屏風、掛幅、画巻の諸形式に歌舞伎や遊里の風俗を描きました。
 これが浮世絵の始まりだったのです。


衝立のかげ(1673-81)