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神代植物公 園

 所在地●東京都調布市深大寺元町5-31-10
 交 通●JR吉祥寺駅または京王線つつじヶ丘駅からバス、
     神代植物公園前下車すぐ
神代  開 園●9時30分~16時
 休園日●月曜(祝日の場合は翌日)
 入園料●500円
 駐車場●あり(有料)
 紹介先●神代植物公園管理事務所
     電話 0424-83-2300



今回訪れた庭園の中でもっとも大規模な庭園はこの神代植物公園でした。
42万5400?という広い園内に栽培されるのは4500品種10万株というスケールの大きな 庭園で、ツバキ、ウメ、サクラ、ツツジ、バラ、シャクヤク、ハナショウブ、サザン カなど1年を通して様々な花を鑑賞することができ、温室の熱帯植物園もありました。
中でも素晴らしいといわれているのが、巨大な噴水を配したフランス式庭園です。噴 水の周囲は260品種の5千株という巨大な数のバラの木で、その間には白い彫刻があ り、さながら宮殿の庭園のようでした。
無数のバラを見ているうちに、バラと言っても、バラには様々な種類があり、様々な 色に香り、花びらや樹の形があることが分かってきました。
まずは花びらの形には先がとがっているものと、丸い形をしているものがあります。
そして花びらがそり返っていたり、そうでなかったり。 数にしても50枚もあるものから、4枚しかない一重咲きのものもありました。
色は赤、白、黄色、ピンク、オレンジ、紫など、回りを縁どるように色がついていた り、花びらの内側は赤いのに裏は白だったりとおもしろいものがありました。 香りも一般的なものから、レモンのような香りや、クリームのような香り、強烈に香っ たり、逆にほとんど香りのしないものなど、様々でした。 樹にしても、1本の茎に1花大輪の物を咲かせるハイブリット・ティー系、1本の枝 に中位の花を3~10個つけるフロリバンダ系、ツルバラのクライミング系、ミニバラ のミニチュア系などがありました。 神代植物園では、特にハイブリット・ティー系を中心にそれらが一斉に咲き誇ってい ました。

バラという植物が、いつごろ、どこで生まれたかは分からないそうですが、 一般の現在の栽培植物の起原はヒマラヤ、カラルコム山系の周囲に多いことから、 バラもおそらくそこで何千万年も昔に生まれ、風や旅人によって運ばれて、 バラの遠い祖先にあたるノバラの原種の自生地ペルシャやシリアに辿り着いたのかも しれません。
それから古代バビロニア、古代ギリシャ、古代ローマとバラは文献に壁画に出てきま す。 しかも皇室や王朝という最高の場所で。 エジプトの女王クレオパトラは、ローマからシーザーやアントニウスを迎えた時に膝 まで埋まるほどたくさんのバラを敷きつめ、 美容のために花びらから油精をとったローズオイルを肌に塗ったそうです。
また、古代ローマでは皇帝ネロは大宴会のたびに、大広間ぎかりか料理までバラで飾っ たといいます。
ところが一時期バラは官能的な美しさが人の心を罪に誘うとして、 キリスト教らより一時期は一般の人の栽培を禁じられます。
その中世の暗黒時代を越えて、絵画などに取り上げられるようになったのは14~16世 紀のルネッサンス期です
ボッティチェリの絵画「春」「ヴィーナスの誕生」などにも取り上げられ、ヨーロッ パ各地で栽培されました。
そのバラの栽培に飛躍的な発展がもたらされたのは、19世紀以降です。
そのために1800年を境に、それ以前のバラをオールドローズ、それ以降のバラをモダ ン・ローズと呼ばれています。
発展の最高の貢献者はなんといっても、フランスの皇帝となったナポレオンの妃、ジョ セフィーヌです。
1802年、バラを愛したジョセフィーヌはマルメゾンの離宮の庭に広大なバラ園を作り、 フランス以外からも様々な品種を集め、二百数十種を栽培し、世界で初めて人工交雑 を成功させたそうです。
そしてそれより十年ほど前に革命によって処刑された、フランスの王妃マリー・アン トワネットは、 肖像画の中で、贅沢な衣装、宝石を身にまとい、1本のピンクのオールドローズを持 ち、後々の運命も知らず微笑んでいます。
日本でバラが栽培されるようになったのは古くは17世紀ですが、新しい品種が本格的 に輸入されるようになったのは明治時代になってからで、 大衆化が進んだのは第2次世界大戦後からです。
 高温多湿の日本はモダンローズの栽培には不向きですが、様々な努力によって日本 で作られた新品種が海外のコンクールで賞をとっているそうです。
 けれどもし、もっと以前に日本でバラが多く栽培されていたら、万葉集で、枕草子 で、江戸時代の俳句で、 その美しい花はどんな風に取り上げられていたのでしょうか?
「願わくばバラのもとにて春しなむ」というような?