絵画:ローレンス・アルマ=タデマ 「ポモナの祭り」 (1879)
Sir Lawrence Alma-Tadema Pomona Festival 1879
MIDI:ヴィヴァルディ マンドリン協奏曲第1楽章
Vivaldi Mandolin concerto 1Mvt


ポモナはローマ神話の果実の女神です。
この「ポモナの祭り」の絵画の花壇には早春の花、ヒヤシンスが見えます。

この絵画の季節は春ですが、このポモナの祭りは、秋のお祭り、ハロウィンとたいへん縁が深いのです。
ハロウィンは、万聖節(11月 1 日)の前夜祭秋の収穫を祝い悪霊を追い出す祭りです。
ハロウィンの起源は英国やフランス北部に住んでいたケルト人の祭りに遡ります。

ケルト人は自然を崇拝して、森や湖など、多くの自然の守護神を信じていましたが、特に太陽の神を崇拝していました。
ケルト人の新年は11月1日で、それは太陽の季節の終わりと寒い暗闇の季節の到来を意味しました。そして大晦日の10月31日には死者と暗黒の神サムヘインが全ての死者を集めると信じていました。
悪霊は特に動物となって現れ、その中でもネコは一番の悪霊でした。
それで、10月31日のこの日には、ケルト人の宗教であるドルイド教の司祭たちが聖なる木である樫の木の茂る森の丘の上に集まり、火を焚いて収穫物や動物をお供えして、祈りの踊りを捧げまてのです。朝になるとこの火の燃えかすを、収穫から冬に備えた貯蔵を全て終わらせて家の台所の火を消して待っていたそれぞれの家に分け与えました。その火は各家庭を寒い暗黒の季節に暖かく保ち、悪霊から守ると信じられていたのです。

けれど、このケルト人はブリトン島に侵入してきたローマ人の支配下に紀元1世紀頃おかれます。映画『キング・アーサー』では、このローマの支配におかれた、ブリトン島の人々を描いています。
そしてこの進入してきたローマ人の祭りの一つに果物や果樹の女神ポモナを讃えるものがあり、この祭りが11月1日頃に行われていたのです。

その後835年にローマのカトリック教会が11月1日を全ての聖人を礼拝する万聖節(All Saint's Day)としました。
そして、11月1日の前日の10月31日は、死者と暗黒の神サムヘインと果実の女神ポモナを祭るようになり、その祭り方も宗教や文化を越えて混合していったのです。
ハローウィンという名前ですが、最初は前夜というEvenがつきAll Hallow Evenとなり、短くAll Hallow's Eve、そしてHallowe'enから現在のHalloweenとなりました。

ハロウィンのテーマカラーは、オレンジと黒ですが、オレンジは女神ポモナのイメージカラー、黒は「悪霊」のイメージで使われるようになりました。
またハロウィンには、リンゴを水に浮かして口でくわえて取るゲームがありますが、フランス語のpomme(リンゴ)は、女神ポモナ(Pomona)が語源です。

最後に、この「ポモナの祭り」のイメージでこのページに流した、明るくコミカルなMIDI、ヴィヴァルディのマンドリン協奏曲は、映画『クレイマー・クレイマー』に使われた曲としても有名です。