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絵画:幼いマリー・アントワネットとモーツァルト Little Marie Antoinette and Mozart 音楽:モーツァルト 歌劇『フィガロの結婚』より 「もう飛ぶまいぞこの蝶々」 Wolfgang Amadeus Mozart, Non piu andrai (Le Nozze di Figaro). |
神童と呼ばれた、音楽の天才児モーツァルトは、1762年12月、6歳の時、ウィーンのシェーンブルン宮殿で、女帝マリア・テレジアの前で御前演奏をしました。 この時のモーツァルトは、マリア・テレジアの膝に飛び乗って、何度もキスをしたりと、天衣無縫ぶりを見せています。 モーツァルトはこの時、宮殿で素晴らしい演奏をした後、磨き上げられた床で、転んでしまいました。 怖いもの知らずの男の子も、さすがに泣き出したいくらい恥ずかしくなります。 その時、一人の少女がモーツァルトに駆け寄り、助け起こしてくれました。 モーツァルトは少女に言いました。 「きみはやさしいね。大きくなったら、ぼくのお嫁さんにしてあげるよ」 その少女こそ、女帝マリア・テレジアの末娘、当時7歳のマリア・アントニア(後のマリー・アントワネット)でした。 あまりに無邪気なプロポーズ。母、マリア・テレジアはどんな思いで、この風景を見ていたのでしょうか。 この頃、オーストリアは、フランス、ロシアと同盟を組み、プロイセンとの間で7年戦争が起きていました(1756年6月〜1763年2月)。1763年2月のパリ条約でこの戦争は終結しますが、マリア・テレジアはフランスとの同盟強化をはかるため、同年5月、大使として懐刀であるメルシー伯爵をフランスに送り、末娘アントニアと、フランス国王ルイ15世の孫、フランス王太子ルイ・オーギュスト(後のルイ16世)との結婚話を持ちかけたのです。 それは、この幼いプロポーズから、半年ほど後のことでした。 そして、アントワネットとモーツァルトは、2度と会うことはありませんでした。 |
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マリア・テレジアからプレゼントされた衣装を着たモーツァルト
The costume was a gift of the Empress Maria
Theresa.