アンドレ・マルティ 「青い鳥」 1945年
André E. Marty, L'Oiseau Bleu, 1945.


音楽:ガブリエル・フォーレ ラシーヌの雅歌
Gabriel Fauré, Cantique de Jean Racine, Op.11.
MIDI作成:山岸健一






 墓地は静まりかえり、何も動きません。
 おそろしい時間がしばらく続きました。

 やがて静かに十字架が揺れ、持ってある土が口を開けました。
 お墓の石が持ち上がりました。

 ミチルはチルチルにしがみつきました。
「出て来るわ!ほら!」

 やがて口を開けたお墓の中から霧のような煙が立ち込めました。
 煙は静かにのぼりながら、ふわふわと白い花のつぼみになりました。
 それは花の精たちでした。
 花の数は増え、次第に茂り、だんだん高くなっていきました。 

 なにもかもが花で隠れてしまい、墓地全体が、不思議な、楽しい花園に変わりました。