フレデリック・ケイリー・ロビンソン 「青い鳥」 1911年
Frederick Cayley Robinson, The Blue Bird, 1911.


音楽:W・A・モーツァルト 「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
Wolfgang Amadeus Mozart, Ave verum corpus, K.618.






 チルチルは空色の服の子どもたちに話しかけました。
「こんにちは!」

 小さな空色の服の子どもは、チルチルの帽子を珍しそうに触りました。
「これ、なあに?」
「これはね、帽子だよ。こうして頭にかぶっていると、雨の時も寒い時もとても助かるんだよ」

「寒いってなあに?」
「寒いと、ぶるぶる体がふるえるよ」

「地球はさむいの?」
「冬は寒いよ。お金がないとストーブがたけないからなお寒いよ」

「お金ってなあに?」
「何か買う時に使うものだよ。君たちはお金持ちなのかな。年はいくつなの?」

 聞きたがりの子どもにようやく質問ができました。

「ぼくね、12年たったら生まれるのよ。生まれるっていいこと?」
「うん、とってもおもしろいよ」

「おにいちゃんはどうして生まれたの?」
「思い出せないよ。ずっと昔だもの」

「みんなきれいだってね。地球も生きている人も。生まれる時はね、おかあさんたちが入り口のところで待っていてくれるんだって。おかあさんたち、みんないい人だっていうの。ほんとう?」

「うん、そうだよ。お母さんは世界中で一番いいんだよ。おばあちゃんもね、とっても優しいよ。でもおばあちゃんたち、あんまり早く死んじゃうんだもの…」

「死ぬってなんのこと?」
「どこかへ行ったっきり帰ってこないんだ…」

「お兄ちゃんの目、どうしたの?真珠ができてるよ!」
「ううん、真珠じゃないよ」

「真珠じゃないなら、なんていうものなの?ほら、おちてきたよ」
「なんでもないよ。水がちょっぴり落ちてきたんだよ」

「目からお水が出てくるの?」
「うん、人が泣く時ね…」

「泣くってなんなの?」
「きみ、ここじゃ泣かないの?」

「どうやったらいいかわからないもの」