絵画:クロード・モネ「草上の昼食 中央断片」(1865-1866)
Luncheon on the Grass, Central Panel 1865-1866
MIDI:メンデルスゾーン 『無言歌集』より 第14番作品38-2「失われた幸福」


「草上の昼食 中央断片(Luncheon on the Grass, Central Panel)」(1865-66)は、
パリのオルセー美術館に所蔵されている大きな作品です。

モネの「草上の昼食」は、1966年のサロンに出品するために
制作が試みられた大作(460×600cm以上)でした。

モネは絵の境と現実世界の境をなくし、
絵を観る人が、あたかも自分自身がピクニックに参加している気持ちになれるように、
絵の中の人物は等身大に描かれました。

けれどこの絵は、あまりに大きく戸外で描くには困難だあったことなど、
製作過程で多くの困難をきたして、サロンには到底間に合わず、出品は断念されました。

モネはこの絵を巻き上げて12年間、手元に置きましたが、
78年アルジャントゥイユの家の家賃未払いのため、
この絵を家主に取られてしまいました。
そして6年後、ようやくモネの手元に戻った時には、
湿気で絵画の一部は相当の損傷をきたしていました。
しかたなくモネは、損傷した部分を破棄し、
残ったのがオルセー美術館に所蔵されれいる、
中央部分(248×217cm)と左側断片(418×150cm)です。

前ページの
「草上の昼食」は、ロシアのプーシキン美術館所蔵のもので、
「草上の昼食」を縮小したレプリカ(130×181cm)です。
中央断片の方は、座る男性のモデルが、
画家のクールベ(1819-1877)に書き換えられています。


「草上の昼食 左側断片」(1865

元の高さで残っている左側断片の縦の長さは418cm、
元のまま残っていたら、相当の大きさです。
「草上の昼食」が完成していたら、モネが望んだように、
観ているだけで、本当に自分も森の中にいる気持ちになったでしょう。

幾枚も描かれた「草上の昼食」の習作のフォンテーヌブローの森の絵や
レプリカ、そして断片を観ると、
モネのこの絵に対する思いいれが見られて、悲しみを感じます。

MIDIはメンデルスゾーンの『無言歌集』より
第14番作品38-2「失われた幸福」です。