絵画:クロード・モネ 「オンフルールのセーヌの河口」(1865)
Mouth of the Seine at Honfleur 1865
MIDI:メンデルスゾーン 『無言歌集』より 第43番作品102-1「家も無く」


モネが初めてサロンに作品を出品したのは、1865年でした。
その時出品した2点の作品「オンフルールのセーヌの河口」と
「干潮のラ・エーヴ岬」は共に入選しました。

2点とも縦90センチ、横150センチの、サロンで好まれるサイズで、
絵画の主題もまた、サロンには馴染み深い海景でした。

批評家達からも好意的に迎えられ、批評家ポール・マンツは、
保守的な雑誌『ガゼット・デ・ボザール』でで、
モネの「事物に対する大胆な見方」と、
「色調の関連しあう調和のとれた色彩に対する彼の好みと、
十分に考え抜かれた全体の質の高さ」を賞賛しています。

モネは「オンフルールのセーヌの河口」を素描にするように依頼され、
それは銅版画になり、1865年の有名な『ロートグラフ・デュ・サロン』に掲載されました。

『ロートグラフ・デュ・サロン』の批評は、モネの絵を
「最も独創性と柔軟性に優れ、
これまで最もしっかりとした調和のとれた作品である」とまで書きました。

モネは他にも、前年からオンフルールからトルーヴィルの間の海岸の
絵を何点か描いていますが、
どの作品も水平線を中央よりやや下にとって、
空の部分を大きくすることによって、広々とした空間を形成し、
遠近感を強めています。
色調も絵の具の塗り方も抑制されて、全体の構図もまだ伝統的でした。
けれどそれ故に、伝統的なサロンに入選することができたのでした。

以下の3点の作品は、1864年の作品です。
絵画をクリックすると、大きな画像でご覧になれます。



Hauling a Boat Ashore, Honfleur(1864)


Lighthouse at the Hospice, Honfleur(1864)

「オンフルールのセーヌの河口」を含めた上の3点は、
オンフルール側から西のトルーヴィルを向いて描いた作品です。
下の「オンフルールの海岸」は、その逆を描いています。


オンフルールの海岸(1864)