ポネット

1996年/フランス/101分
監督・脚本:ジャック・ドワイヨン
製作:アラン・サルド
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:フィリップ・サルド

キャスト
ポネット:ヴィクトワール・ティヴィソル
ママ:マリー・トランティニャン
パパ:グザヴィエ・ボーヴォワ
伯母さん:クレール・ヌブー
いとこのデルフィーヌ:デルフィーヌ・シルツ
いとこのマチアス:マチアス・ビューロー・カトン
ユダヤ人の女の子アダ:レオポルディーヌ・セール

STORY
ポネットのママは事故で死んでしまった。幼いポ ネットにわかるのは、ママがいなくなったことだけ。 きっと会いに来てくれる。そう信じてポネットは一人ママを待ち続ける。草原に寝転 び、ベッドでお祈りをした。 大人が話す“死”の説明に満足できずに、ポネットは自分の世界に閉じこもる。やが て泣きつかれたころ、 静かに“奇跡”が訪れた。



「なにしてあそぼうか」
「あそべない。ママをまっているから」
「しんだら、しぬんだよ」
「イエスさまは生きかえったもん。おともだちのために。ママはおともだちいじょう よ」
「おじいちゃんはしんだきりだよ」
「だれもまってなかったのよ」

「ぜんのうの神さま、ママはしにました。神さまといっしょのはずです。ママにわた しとお話しするようつたえてください」

恥ずかしいけれど映画館で最初から泣き通しでした。
私が小さかった頃、母が死んだことを想像して泣いたことを思い出しました。

ママと一緒に車に乗っていて交通事故にあった4歳のポネット。
ポネットは足を骨折し、ママは死んでしまいました。

病院にお見舞いに来たパパが「ママはいなくなったけど2人で元気になろうね」と足 のギプスに犬の絵を 描いてくれました。
でも4歳のポネットは“死”の意味が分かりません。ただひたすらママがいなくて寂 しいのです。

パパの仕事の都合で、ポネットは伯母さんの家に預けられます。
伯母さんはポネットが痛々しくてたまらないのですが、やはり小さな従兄のマチアス はポネットが来て大喜びです。

ポネットはマチアスとその姉のデルフィーヌと寄宿学校に入りますが、ポネットは他 の子ども達と遊ぼうとしません。
部屋でずっとずっとママを待っています。

マチアスがポネットを遊びに誘った時の会話が冒頭のものです。

そしてポネットは学校の友達からある女の子の話を聞きます。どうやらその子は魔女 のようになんでもできるのだ そうです。
その少女アダにポネットはママに会いたいと頼みます。
「それには“しけん”があるの」と次々にアダは難題をふっかけます。
ポネットはママのために、子どもにとっては、とてもとても高い所から飛び下ります。
それでも願いは叶わず、ポネットは失望してアダから離れていきます。

「ママがしんだのはおまえが悪い子だからだ」とひどいことを言う子もいます。

ポネットはひたすら神様にお祈りします。
「ぜんのうの神さま、ママはしにました。神さまといっしょのはずです。ママにわた しとお話しするようつたえてください」


幼稚園のことなど小さな頃のことをたくさん思い出した映画でした。
小さい頃は、高い所から飛び下りるのは、とても勇気のいることでした。友達に自慢 できることでした。
「お前が悪い子のせいだ」とひどいことを言う子、私の小さい頃にもいました。
泣いた後にケロリと忘れてしまうことも、忘れずずっと悲しかったこともありました。
私が最初に出会った死は金魚すくいの金魚だったことを思い出しました。

この映画は小さな子どもの目の位置、とても低い所から撮影されています。
だから大人はとても大きく見えて、本当は近い所がとても遠くに思えて。
泣きたいほど懐かしい感覚でした。


ポネットにママは2度と戻ってこないと説明するよりも・・・何日でもポネットと一 緒にお祈りしてあげたかったな・・・。

ラストは本当に感激しました。
涙が止まりませんでした。


「ママが楽しむことを学びなさいって」

「楽しむことを学ぶのよって」