絵画:ウォルター・クレイン 「イチゴとイラクサ」 『ヘンリー五世』より
MIDI:パッヘルベル 「ジーグ」

Walter Crane, Strawberry and Nettle from "Henry V".
MIDI : J.Pachelbel, Gigue.




ELY
The strawberry grows underneath the nettle
And wholesome berries thrive and ripen best
Neighbour'd by fruit of baser quality.

          (Henry V, Act 1. Scene 1. by William Shakespeare)

イーリー司教
イチゴはイラクサの下でよく育ち、
よい実は下等な果物と隣りあわせになった時
最もよく成長し、実ります。
         (ウィリアム・シェイクスピア 『ヘンリー五世』 第1幕第1場)


ヘンリー五世(在位 1413-1422)
KING HENRY THE FIFTH


 『ヘンリー五世』(1599年初演)は、ランカスター家の王ヘンリー五世(在位 1413-1422)を主人公にした歴史劇です。

 「隣接する植物は影響し合う」という通念があり、植物を育てる時、累を及ぼす悪い草木は遠ざけて、好ましい影響を与える植物を近くに受けました。
 けれどイチゴだけは別でした。イチゴはイラクサのような有害な雑草の下でよく育ちました。イーリー司教は無頼の徒と放蕩に明け暮れていたハル王子(ヘンリー五世)が立派な王になったことを、イラクサの下に実るイチゴにたとえています。

 下の絵画はヘンリー五世と結婚する、フランス王女キャサリン(カトリーヌ)です。
 フランスとイギリスの間には80年余も戦争が継続していました。百年戦争です。
 ヘンリー五世は、王位をねらう貴族の関心をそらせるために、内紛を続けていたフランスに戦いを挑み、1420年のアンジコートの戦いにおいて大勝利を収めました。
 その勝利により戦争は終結し、和平条項の一つとして、ヘンリーはフランス王女キャサリン(カトリーヌ)と結婚したのです。

 『ヘンリー五世』の第5幕第2場、ヘンリーのキャサリンへのプロポーズがこうです。

 "shall we not? what sayest thou, my fair flower-de-luce? "
 (そうしようではないか?美しい姫、フランスの花(flower-de-luce)、
 そなた なんと返事してくれる?)


作者不詳 『ヘンリー五世』より 「フランス王女キャサリン」
anony, Princess Katherine of France from "Henry V", c.1860.




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