絵画:ローレンス・アルマ=タデマ 「モーゼの発見」(1867)
The Finding of Moses 1904
MIDI:ヘンデル オラトリオ『ソロモン』HWV67より 「シバの女王の入城」

モーゼは、紀元前一三世紀頃の人物で、古代イスラエル民族の伝説的指導者です。
旧約聖書「出エジプト記」によると、エジプトでのイスラエル人の窮状を見て、彼らを率いてエジプトを脱出し、40年の荒野放浪ののち、約束の地カナンへ導きました。

この絵画は、旧約聖書「出エジプト記」2章による、モーゼ出生の一場面を描いています。

エジプト王はユダヤ人が増えるのを好まず、ユダヤの新生児を、すべて殺すよう命じました。
モーゼもその頃、エジプトに生まれたユダヤの赤ん坊でした。
モーゼの母は子どもを殺すにしのびず、葦で編んだ籠に入れてナイル川に流しました。
その時、川に遊びに来ていたファラオの王女が見つけて、ユダヤ人だとうすうす感じましたが、モーゼ(川から引き上げた子)と名付け、我が子として宮廷で大切に育てたのです。

アルマ=タデマが描いた「モーゼの発見」は、土木技師サー・ジョン・エアードが、ナイル川にアスワン・ダムを建設という大事業を成した記念に、902年に注文した作品で、完成まで2年かかりました。

2年も作品に手間取るアルマ=タデマに、妻ローラが「もうモーゼは2歳になっているはずだから、かつぎあげる必要なんてないわ」と冗談を言ったエピソードが残っています。

この画面では見づらいのですが、画面右奥にうっすらとピラミッドが見えます。
また咲きみだれているうつくしい青い花は、デルフィニウムです。