絵画:ローレンス・アルマ=タデマ 「テピダリウム(微温浴室)にて」(1881)
Sir Lawrence Alma-Tadema In the Tepidarium 1881
MIDI:バッハ ブランデンブルク協奏曲第1番 第2楽章 アダージョ


この絵画は、アルマ=タデマの作品の中でも、もっとも官能的な力作と言われています。
当時問題を引き起こしていた、マネの「オランピア」や「草上の昼食」よりもはるかにエティックで、挑発的な作品にも見えますが、この作品については、何の咎めもありませんでした。


マネ「草上の昼食」

この扱いの違いは、時代背景にありました。
マネの作品の舞台は明らかに同時代の情景で、それが非難の対象となったのです。

アルマ=タデマの裸体画の背景は古代ローマでした。
「テピダリウム」というタイトル、にしても、古代ローマ風のブロンズの鉢の植えられた夾竹桃や大理石のモチーフは、すべて古代の情景でした。
ナンセンスですが、それ故に非難の対象とならなかったのです。