アンドレ・マルティ 「青い鳥」 1945年
André E. Marty, L'Oiseau Bleu, 1945.
音楽:J・S・バッハ チェンバロ協奏曲第5番 第2楽章 ラルゴ(アリオーソ)
J.S.Bach, Keyboard Concerto No. 5 in F-, BWV1056, Largo.
母の愛の喜びはチルチルとミチルのそばに来て嬉しそうに言いました。
「チルチル!ミチル!あなたたちがいなくなってしまい、どこに行ってのかと、とても心配していたのよ」
「本当にお母さんなの?でもなんだかへんだな。お母さんによく似ているけど、お母さんよりずっときれいだ」
「それはそうよ。私はもう年を取らないのだもの。さあ、キスしてちょうだい。抱かせてちょうだい。私はあなたたちのお母さん。母の愛なのですよ。家でいる時はこんなにきれいではないけれど、あなたたち2人が元気で笑顔でいると、私はどんどん若くきれいになるのよ」
「お母さん、とてもきれいな服を着てるね。お金持ちになったの?」
「いいえ、これはいつも着ている服よ。でもこれを着ていても誰も気付かないの。お母さんというものは誰でも、子どもをかわいがる時はお金持ちなのよ。貧乏でも醜くもない。年も取らないの。母の愛というものは、喜びの中で一番きれいなものだから。どんなに悲しいことがあても、あなたたちがキスしてくれたら、お母さんの涙はみんな目の中で星になって光り出すのよ」
「本当だ。お母さんの目の中にいっぱい星がたまってる。本当にお母さんの目だ。でもずっときれいだね。声も同じだ。でも家で話すよりずっといっぱい話してくれるし聞いてくれるね」
「家では忙しすぎてそうしてあげられないの。明日、家に帰ってお母さんがいい服を着ていなくても心配しないでね。もう分かるわね。あなたたちが元気でいい子なら、嬉しくていい服を着ているのと同じなのよ」
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