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 Ophelia and Hamlet


Pierre Auguste Cot, Ophelia, 1870.


KING
Sweet Gertrude, leave us too;
For we have closely sent for Hamlet hither,
That he, as 'twere by accident, may here
Affront Ophelia:
Her father and myself, lawful espials,
Will so bestow ourselves that, seeing, unseen,
We may of their encounter frankly judge,
And gather by him, as he is behaved,
If 't be the affliction of his love or no
That thus he suffers for.

QUEEN
I shall obey you.
And for your part, Ophelia, I do wish
That your good beauties be the happy cause
Of Hamlet's wildness: so shall I hope your virtues
Will bring him to his wonted way again,
To both your honours.

OPHELIA
Madam, I wish it may.

  [Exit GERTRUDE]

POLONIUS
Ophelia, walk you here. Gracious, so please you,
We will bestow ourselves.
[To OPHELIA] Read on this book;
That show of such an exercise may colour
Your loneliness. We are oft to blame in this,--
'Tis too much proved--that with devotion's visage
And pious action we do sugar o'er
The devil himself.

HAMLET, Act 3, Scene 1


国王
ガートルード、すまぬが席をはずしてくれぬか。
実は、それとなくハムレットをここへ呼びにやっておいたのだ、
偶然ここでオフィーリアに出会うといいう、
ひそかな筋書きなのだが。
あれの父親とわしとは、天に恥じない隠密の役を買って出て、
物陰にかくれ、見られずに見ながら、
二人の出会いの様子をうかがい、
あのような乱心の原因(もと)が恋の悩みか、そうでないか、
王子のふ振舞いからとくと判断しようというわけなのだ。


王妃
仰せのとおりにたしましょう──
ねえ、オフィーリア、そなたのお美しさが、
ハムレットの乱心の原因であってくれればと、
心から願っています。幸いにして、もしそうであってくれれば、
そなたの功徳であの子も常の正気にもどり、
お二人の仕合せにもつながることでしょう。

オフィーリア
仰せのとおりになりますよう、わたくしも願っております。

   (王妃退場)

ポローニアス
オフィーリア、この辺を歩いていなさい。陛下、およろしかったら、
隠れることにいたしましょう……さ、この祈祷書を読んどるの。
(祈祷台から一冊の本を取り上げ、オフィーリアに渡す。)
そうして神妙にお勤めしているように見せかけていれば、
一人でいても怪しまれまい。こんなふうに信心深げな顔つきで、
行い澄して、内心の悪魔に砂糖の衣を着せるのは、
罪なことにはちがいないが、世間ではざらにあることだからな。

岩波文庫 『ハムレット』 第3幕第1場より 野島秀勝/訳








Charles Mayne Young (1777-1856), as Hamlet and Mary Glover as Ophelia in 'Hamlet'




Hugues Merle (1823-1881), Hamlet and Ophelia



[Enter Hamlet]

HAMLET

To be, or not to be- that is the question:
Whether 'tis nobler in the mind to suffer
The slings and arrows of outrageous fortune
Or to take arms against a sea of troubles,
And by opposing end them. To die- to sleep-
No more; and by a sleep to say we end
The heartache, and the thousand natural shocks
That flesh is heir to. 'Tis a consummation
Devoutly to be wish'd. To die- to sleep.
To sleep- perchance to dream: ay, there's the rub!

- Soft you now!
The fair Ophelia!- Nymph, in thy orisons
Be all my sins rememb'red.

OPHELIA
Good my lord,
How does your honour for this many a day?

HAMLET
I humbly thank you; well, well, well.

OPHELIA
My lord, I have remembrances of yours
That I have longed long to re-deliver.
I pray you, now receive them.

HAMLET
No, not I!
I never gave you aught.

HAMLET, Act 1, Scene 3

  (ハムレット登場

ハムレット

生きる、死ぬ、それが問題だ。
どちらが貴いのだろう。残酷な、
運命の矢弾をじっとしのぶか、あるいは
寄せくる苦難の海に敢然と立ち向かって、
戦ってその根を断ち切るか。死ぬ──眠る──
それだけのことだ、しかも眠ってしまえば、みんなおしまいではないか、
おれたちの心の悩みも、この肉体につきまとう
数知れぬ苦しみも。だとすれば、それこそ願ってもない
人生の終局ではないか、死ぬ──眠る──
眠る!夢をみるかもしれない、そうか、ここでつかえるのだな。
  (中略)
……おお待て、
美しいオフィーリア──森の女神よ、お祈りか、
ぼくの罪のおゆるしもいっしょに願っておくれ。

オフィーリア
(祈祷机から立ち上がって、ちょっとこわばった声で)
あの、王子さま、
この頃はいかがでございますの?

ハムレット
いや、どうもありがとう、大変いい、大変いい、大変いい。

オフィーリア
王子さま、いただいた記念の品をわたくしまだ持っておりますの、
とうからお返ししなくてはと存じておりましたのですけれど。
お受け取りくださいません、どうぞ。

ハムレット
(冷たく)受け取れない。何もあげた覚えはないな。

(彼女の言葉には何か不自然な、前もって用意したようなところがある。ハムレットはそれを感じた。彼は王のたくらみを思い出さないにしても、何かたくらみがかくされているかもしれないことを感じたらしい)

『ハムレット』 第3幕第1場より 三神勲/訳




J. D. Watson, "Hamlet and Ophelia"




A. Buchel, "Hamlet"




G. Demain Hammond, "Ophelia and Hamlet"





HAMLET
You should not have believ'd me; for virtue cannot so inoculate our old stock but we shall relish of it. I loved you not.

OPHELIA
I was the more deceived.

HAMLET
Get thee to a nunnery! Why wouldst thou be a breeder of sinners? I am myself indifferent honest, but yet I could accuse me of such things that it were better my mother had not borne me. I am very proud, revengeful, ambitious; with more offences at my beck than I have thoughts to put them in, imagination to give them shape, or time to act them in. What should such fellows as I do, crawling between earth and heaven? We are arrant knaves all; believe none of us. Go thy ways to a nunnery.

HAMLET, Act 3, Scene 1

ハムレット
信じていたとしたら、それは大間違いだぞ。どんなに美徳を接木(つぎき)してみたところで、もとの台木の性質は消えぬからな。おれはほんとは君を愛してなんかいなかった。

オフィーリア
では、大変な思いちがいをいたしておりましたわ。

ハムレット
(祈祷机を指しながら、しだいに熱狂してくる)
尼寺へ行け。なぜ罪な人間を生みたがるのだ?おれなどはかなりまっとうな人間のつもりだが、それでもいっそ母が自分など運でくれなかったらよかったと思うほどたくさんの罪悪を背負いこんでいる。傲慢で、復讐心が強くて、野心深くて、そのほか、まだどんな罪を犯すかわからない人間だ。それを一つ一つ思いつく思惟の力も、それに形を与える想像力も、実行に移す時間もないほどたくさんの罪をおれは担っているのだ。おれのような男が天地のあいだを這いまわって、いったい何ができるというのだ? おれたちは一人残らず大悪党だ、誰をも信ずるな。──尼寺へ行ってしまえ。

『ハムレット』 第3幕第1場より 三神勲/訳



Frances Brundage, "Hamlet and Ophelia"