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The madness of Ophelia



Erneste Etienne Narjot (1826-1898), "Ophelia"


LAERTES
O heat, dry up my brains! tears seven times salt,
Burn out the sense and virtue of mine eye!
By heaven, thy madness shall be paid by weight,
Till our scale turn the beam. O rose of May!

HAMLET, Act 4, Scene 5

レアティーズ
激情よ、わたしの頭を干上がらせておくれ。涙よ、塩の辛さを
七倍にもしてこの目の視覚の力を焼き尽くしてくれ。
よし、お前のこの狂気、きっと重い恨みの重しをつけて返してやる、
応報の天秤が傾いたとしても構うものか、ああ、五月の薔薇、
いとしの乙女、やさしい妹、美しいオフィーリア!

『ハムレット』 第4幕第5場より
大場建治/訳 研究社 シェイクスピア選集8 『ハムレット』






ベンジャミン・ウェスト 「オフィーリアとレアティーズ」 1792年
Benjamin West, Ophelia and Laertes, 1792.



LAERTES
O heavens! is't possible, a young maid's wits
Should be as moral as an old man's life?
Nature is fine in love, and where 'tis fine,
It sends some precious instance of itself
After the thing it loves.

OPHELIA
[Sings]
They bore him barefaced on the bier;
Hey non nonny, nonny, hey nonny;
And in his grave rain'd many a tear:--
Fare you well, my dove!

LAERTES
Hadst thou thy wits, and didst persuade revenge,
It could not move thus.

OPHELIA
[Sings]
You must sing a-down a-down,
An you call him a-down-a.
O, how the wheel becomes it! It is the false
steward, that stole his master's daughter.

LAERTES
This nothing's more than matter.

HAMLET, Act 4, Scene 5


レアティーズ
ああ、どうしてこんなことが。若い娘の頭が
老人の命のようにもろくも崩れるのか?
人間らしさの証しは人を愛する細やかさ、だからこそ
愛する者の亡きあとは
人として最も貴いものにそのあとを追わせるのか。

オフィーリア
(歌う) 顔も覆わず棺に乗せて
ヘイ・ノン・ノニ、ヘイ・ノニ
お墓に涙の雨が降る──
さようなら、いとしいあなた。

レアティーズ
お前が正気で復讐しろと言っても
これほど心を動かされはしない。

オフィーリア
続けて歌わなきゃ駄目、あなたは「ずん、ずん、ずん」よ、それからあなたは「呼んでごらん、ずん」ってね。ああ、糸車の調子にぴったりね。主人の娘を盗んだのは召使い頭、恩をあだで返したのよ。

レアティーズ
無意味な言葉がかえって意味を持つ。

『ハムレット』 第4幕第5場より
松岡和子/訳 ちくま文庫 シェイクスピア全集1 『ハムレット』



ベンジャミン・ウェスト 「オフィーリアとレアティーズ」 1792年
Benjamin West, Ophelia and Laertes, 1792.



OPHELIA
There's rosemary, that's for remembrance; pray,
love, remember: and there is pansies. that's for thoughts.

LAERTES
A document in madness, thoughts and remembrance fitted.

HAMLET, Act 4, Scene 5

オフィーリア

(レアティーズに)これ、まんねんろう、忘れないでってしるしですわ。──ねえ、あなた、忘れないでね。それから三色すみれもあるわ、これはものを想えってしるし。

レアティーズ
狂気の中にも教訓がある。ものを思って忘れるなか、そのとおりだ。

『ハムレット』 第4幕第5場より
三神勲/訳 河出書房新社 世界文学全集 I  シェイクスピア



ウィリアム・ゴーマン・ウィルス 「オフィーリアとレアティーズ」
William Gorman Wills, Ophelia and Laertes.



OPHELIA
There's fennel for you, and columbines: there's rue
for you; and here's some for me: we may call it
herb-grace o' Sundays: O you must wear your rue with
a difference. There's a daisy: I would give you
some violets, but they withered all when my father
died: they say he made a good end,--

Sings

For bonny sweet Robin is all my joy.


HAMLET, Act 4, Scene 5

オフィーリア

(国王に)これがあなたのういきょうとおだまき草よ。(王妃に)あなたには悔やみ草、あたしにも少しとっておこう、これは安息日の恵み草と言ってもいいの。──ああ、あなたの悔やみ草はちょっと形を変えておつけにならなければいけないことよ。ひな菊もあるの。あなたにはすみれをあげたいのだけれど、みんなしぼんでしまったの、お父様がお亡くなりになったときに。──めでたい往生だって、みんな言っていましたわ。──
(歌う)うれし、なつかし、こま鳥さん──


『ハムレット』 第4幕第5場より
三神勲/訳 河出書房新社 世界文学全集 I  シェイクスピア



F. Lefler, "Ophelia before the King and Queen"



Sir Joseph Noel Paton, Ophelia.


LAERTES
Thought and affliction, passion, hell itself,
She turns to favour and to prettiness.

HAMLET, Act 4, Scene 5

レアティーズ
悲しみも悩みも苦しみも、地獄そのものも
こうして愛らしく美しいものに変えてしまう。


『ハムレット』 第4幕第5場より
松岡和子/訳 ちくま文庫 シェイクスピア全集1 『ハムレット』



Walter Paget, Ophelia Goes Mad




ヘンリエッタ・ラエ 「オフィーリア」 1890年
Henrietta Rae, Ophelia, 1890.




ヘンリエッタ・ラエ 「オフィーリア」 1901年
Henrietta Rae, Ophelia, 1901.


OPHELIA
[Sings]
And will he not come again?
And will he not come again?
No, no, he is dead:
Go to thy death-bed:
He never will come again.
His beard was as white as snow,
All flaxen was his poll:
He is gone, he is gone,
And we cast away moan:
God ha' mercy on his soul!
And of all Christian souls, I pray God. God be wi' ye.


HAMLET, Act 4, Scene 5

オフィーリア

(歌う)
あの人帰ってくるかしら?
あの人帰ってくるかしら?
いえ いえ 死ぬまで待ったとて
死んでしまった人だもの
あの人はもう帰らない
頭は銀髪麻のよう
そのお姿もいまはなく
泣く泣く祈るほかはない
あの世でどうかしあわせに。
みなさまのためにも祈ります、どうかおしあわせに。さようなら。


『ハムレット』 第4幕第5場より
小田島雄志/訳 白水uブックス シェイクスピア全集  『ハムレット』



マーカス・ストーン 「オフィーリア」 1888年
Marcus Stone, Ophelia, 1888.