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Paul Albert Steck
Ophelia


QUEEN
There is a willow grows aslant a brook,
That shows his hoar leaves in the glassy stream;
There with fantastic garlands did she come
Of crow-flowers, nettles, daisies, and long purples
That liberal shepherds give a grosser name,
But our cold maids do dead men's fingers call them:
There, on the pendent boughs her coronet weeds
Clambering to hang, an envious sliver broke;
When down her weedy trophies and herself
Fell in the weeping brook. Her clothes spread wide;
And, mermaid-like, awhile they bore her up:
Which time she chanted snatches of old tunes;
As one incapable of her own distress,
Or like a creature native and indued
Unto that element: but long it could not be
Till that her garments, heavy with their drink,
Pull'd the poor wretch from her melodious lay
To muddy death.

HAMLET, Act 4, Scene 7


小川のふちに柳の木が、白い葉裏を流にうつして、
斜めにひっそりと立っている。
オフィーリアはその細枝に、きんぽうげ、いらくさ、ひな菊などを巻きつけ、
それに、口さがない羊飼いたちがいやらしい名で呼んでいる紫蘭を、
無垢な娘たちのあいだでは死人の指と呼びならわしているあの紫蘭もそえて。
そうして、オフィーリアはきれいな花環をつくり、
その花の冠を、しだれた枝にかけようとして、
よじのぼった折も折、意地悪く枝はぽきりと折れ、
花環もろとも流れのうえに。
すそがひろがり、まるで人魚のように川面をただよいながら、
祈りの歌を口ずさんでいたという、
死の迫るのも知らぬげに、水に生い水になずんだ生物さながら。
ああ、それもつかの間、ふくらんだすそはたちまち水を吸い、
美しい歌声をもぎとるように、
あの憐れな牲えを、川底の泥のなかにひきずりこんでしまって。
それきり、あとには何も。


『ハムレット』第4幕7場より
シェイクスピア『ハムレット』 福田恆存/訳 新潮文庫





ポール・アルベール・ステック 「オフィーリア」 1895年
Paul Albert Steck, Ophelia, 1895.