音楽:『魔笛』 K.620より 「夜の女王のアリア」

絵画:フランソワ・ブーシェ(1703-1770) 「ポンパドゥール夫人」(1758)
Francois Boucher, The Marquise de Pompadour. 1758.



妻のコンスタンツェを残し、不安や恐れを忘れるため酒場に出かけたモーツァルト。
家に戻ってみると、コンスタンツェがいません。
彼女の実家に行ってみると、コンスタンツェの母親が
ヒステリーを起こして、まくし立てました。

どうやら、モーツァルトの不甲斐なさと乱交ぶりに、
コンスタンツェもついに愛想を尽かし、家に戻ったところ、
母親が見かねて、旅へやってしまったそうなのです。

目をむいて、モーツァルトの欠点をとことん、あげつらう母親が、
モーツァルトの中で、オペラ「魔笛」の夜の女王の顔と重なっていき、
場面は「魔笛」の“夜の女王のアリア”となります。

喜びも悲しみも、怒りも恐怖も、冗談でさえ、
モーツァルトの中では美しい音楽になってしまうのです。



庶民の劇場で上演された「魔笛」は大好評で、
“夜の女王のアリア”にブラボーの声が飛び交います。

そして会場には、サリエリも来ていました。

流れている曲は、『魔笛』の「夜の女王のアリア」です。
絵画絵は、ブーシェの「ポンパドゥール夫人」です。
ロココの女王ポンパドゥール夫人の肖像は数ありますが、
中でも、ラ・トゥールと、このブーシェの肖像がもっとも優れていると言えるでしょう。