絵画:ローレンス・アルマ=タデマ 読み較べ(1892)
Sir Lawrence Alma-Tadema Comparisons 1892
MIDI:シューベルト ミニヨンの歌「ごぞんじですか、レモンの花咲く国」 D.321


この「読み較べ」(1892)では、数年前に好評だった「お気に入りの詩人」(1888)の構図を、再び用いています。
「お気に入りの詩人」でも、2人の女性が描かれ、一方の女性が書物を読み、もう片方の女性がそれを聞いていました。

「お気に入りの詩人」では、女性の読んでいる書物が何かは分かりませんでしたが、この「読み較べ」は、4世紀末にローマで作られた『ニコマクス家とシンマクス家の象牙三連板』のうち、シンマクス家の方の1枚が表紙として描かれています。
これはビクトリア&アルバート美術館所蔵のものです。

寝台兼ソファの繊細な脚の刳形は、テーブルをどっしいり支えているグリフォンと対照的です。
グリフォン(グリュプス)とは、オリエント文化圏にみられる幻獣です。ギリシャ神話では一般にワシの頭とライオンの胴体をもち有翼で、聖書ではエデンの園の門番をしています。


このページに使用しているMIDIは、シューベルトの「ミニヨンの歌」です。

レモンの木は花咲きくらき林の中に 
こがね色したる柑子は枝もたわわに実り
青き晴れたる空よりしづやかに風吹き
ミルテの木はしづかにラウレルの木は高く
雲にそびえて立てる国や 彼方へ 君とともにゆかまし

                       (「ミニヨンの歌」  訳:森鴎外)

ゲーテの「ミニヨン(ミニョン)」は、ベートーヴェン、シューマン、リスト、グノー、チャイコフスキーなど、多くの作曲家が作曲しています。