音楽:『ドン・ジョバンニ』 K.527より
第2幕第15場 「おまえと晩餐をともにしよう」

絵画:クリムト 「パラス・アテナ」(1898)
Gustav Klimt,
Pallas Athene. 1898.



モーツァルトの父レオポルドが亡くなったという知らせが、
モーツァルトの元へ届きます。

幼い自分に音楽を教え、才能を見抜き、
神童と呼ばれた子ども時代は、演奏旅行で、
共にヨーロッパ中をまわった父親の死は、
モーツァルトに激しい衝撃を与えました。

モーツァルトの作った、もっとも陰鬱なオペラ『ドン・ジョバンニ』が上演されます。
プレイボーイで自堕落な生活を送った主人公ドン・ジョバンニ。
ある時、彼が殺した騎士団長の石像が突然口をきき、
ドン・ジョバンニの元を訪れ、彼を地獄に突き落とします。



サリエリは、『ドン・ジョバンニ』の初日を観に行き、
その騎士団長の幽霊を、
モーツァルトが、自分の父の化身として作ったことに気付きます。
父親は死後も息子を支配し続けているのです。

サリエリはモーツァルトを憎む一方で、
モーツァルトとその音楽の一番の理解者でした。
サリエリの圧力で、『ドン・ジョバンニ』のウィーンでの上演は5日で終わりましたが、
その5回をサリエリはすべて観賞し、自分だけの陶酔にひたりました。

映画『アマデウス』では、この騎士団長の亡霊が出てくる第2幕第15場が、
まるごと登場します。
この15場の「おまえと晩餐をともにしよう」は、
モーツァルトの父親が息子を訪ねてきたシーンにも、
未来を暗示するように使われていました。
今お聞きいただいている曲は、その「おまえと晩餐をともにしよう」です。

絵画はモーツァルトの時代と100年離れていますが、
『ドン・ジョバンニ』のイメージと勝手に私が思い込んでいる(^-^;)
クリムトの「パラス・アテナ」です。