フレデリック・ケイリー・ロビンソン 「青い鳥」 1911年
Frederick Cayley Robinson, The Blue Bird, 1911.


音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル ハープ協奏曲 作品4-6 HWV294 第1楽章
Georg Friedrich Händel, Concerto for Harp and Orchestra, op.4 No.6 HWV294, 1st Mov.






 “子ども幸せ”より少し背の高い幸せたちが歌いながら近づいてきました。
 そしてチルチルとミチルを取り囲みまわりながら踊ると、踊りの輪の中から背の高い幸せが出てきてチルチルに言いました。

「こんにちは。チルチルさん」

「こんにちは。でも君はいったい誰なの?なぜぼくの名前をしっているの?」

「知っていますとも。わたしたちの仲間はみんなあなたをよく知っていますよ。みんなあなたの友達ですよ」

 幸せはにこにこ笑いながら言いました。

「え?でもぼく、君たちを知らないよ。誰にも会ったことないよ」

「わたしたちに会ったことがないなんて!」
 幸せたちはおかしそうに笑いました。

「わたしたちはいつだってあなたのまわりにいるんですよ。わたしたちはみんな
あなたの家の幸せなんですよ」

「それじゃ、ぼくの家にもたくさんの幸せがいるの?」

「まあ、家にもたくさんの幸せがいるのですって?小さなおばかさん、どんなすみっこだって幸せでいっぱいなんですよ。じゃあ自己紹介をしましょうね。私は
健康な幸せです。一番きれいではないけれど一番大切ですよ。これからはもうわたしが分かるでしょうね?私のとなりはよい空気の幸せです。そのお隣は両親を愛する幸せ。次の青い服を着ているのは青空の幸せ。緑の服を着ているのは森の幸せ。それから日なたの幸せ春の幸せ冬の火の幸せは寒い日に手を温めてくれます。夕暮れの幸せ星の出を見る幸せ雨の幸せ無邪気な考えの幸せも、とてもだだっ子の幸せもいますよ」