アンドレ・マルティ 「青い鳥」 1945年
André E. Marty, L'Oiseau Bleu, 1945.
音楽:ゲオルク・ヘンデル オペラ『リナルド』より 「私を泣かせてください」
Georg Friedrich Händel, Lascia ch'io pianga from 'RINALDO'.
マルティはフランス語の原書、ロビンソンは英語版です。
その一部、未来の国の“恋人”と呼ばれる少女の言葉を引用します。
Je serai la plus triste!...
Tu me reconnaitras!...
I shall be the saddest thing on earth!...
You will know me by that!...
あたし、地球の上で、いちばん不幸せなものになってるわ…
そうすれば、あなたはあたしのことがわかるでしょう…
これから生まれる子どもたちの船が出発しようとしています。
“恋人どうし”と呼ばれる子どもの少年の方だけが旅立たねばなりませんでした。行きたくなくて隠れていたのが“時のおじいさん”に見つかり、2人は真っ青になりました。
2人は時のおじいさんのところに行って、ひざまずきました。
「時のおじいさん、お願い、この子といっしょに残らせてよ」
「時のおじいさん、お願い、この人と一緒に行かせてちょうだい」
「だめだ!あと394秒しかない」
「この子が生まれる時、ぼくはもう地球にいないかもしれない…」
「あたし、降りていっても間に合わないかもしれない… この人にもう会えないんだわ」
「ぼくたち、ひとりぼっちになっちゃう!」
「そんなことわしの知ったことじゃない。そういうことは“生命”にたのむがいい。わしは言われたとおり分けたり合わせたりするだけだ。さあ、行くんだ!」
子どもたちはおじいさんに無理矢理引き離されました。
「いやだいやだいやだ!あの子と一緒に行くんだ!」
「お願い!あの人をあたしと一緒に残して!」
「さあさあ、この子は死にに行くんじゃない。生まれるんだ。さあ、行くんだ!」
女の子は連れて行かれる男の子に向かって手を差しのべました。
「しるしをちょうだい。しるしを!あなたをどうやってさがしたらいいか教えて!」
「ぼく、いつでもきみを愛するよ…」
「あたし、地球の上で、いちばん不幸せなものになってるわ… そうすれば、あなたはあたしのことがわかるでしょう…」
女の子は地面に倒れてしまいました。
「おまえたちほかにもっといいものをのぞんだ方がいいよ。さ、これでみんなだ。
あと63秒しかない!」