太陽の東・月の西
(3)
太陽の東、月の西。
残された言葉はそれだけでした。
娘が目覚めると、そこは薄暗がりの森の中で、
娘は草の寝床で、泣き崩れました。
ひとしきり泣いた後で娘は立ち上がり、言いました。
「きっとまいります。あなた」
幾日か歩き、娘は山のふもとで、金色のりんごを持った老婆と出会いました。
その老婆は魔女でした。
娘は太陽の東、月の西にある城について尋ねました。
魔女は事情を知ると、娘が気の毒になりましたが、
道は知りませんでした。
その代わり、金のりんごをくれました。
2番目に出会ったのも魔女でした。
この魔女も道を知らず、
その代わり、金のくしをくれました。
3番目に出会ったのも魔女でした。 この魔女も道を知らず、
その代わり、金の糸車をくれました。
魔女達は馬も貸してくれ、
娘は3番目の老婆が教えてくれた東風の家へと来ました。
東の風は言いました。
その城のことは聞いてはいるが
はるか遠くの 雲の果て
そこまで吹いたことがない
娘さん 人の子の花嫁さん
勇気があったら わたしにお乗り
西風のところにつれていってあげよう
西の風は言いました。
その城のことは聞いてはいるが はるか遠くの 雲の果て そこまで吹いたことがない 娘さん 人の子の花嫁さん 勇気があったら わたしにお乗り
南風のところにつれていってあげよう
南の風は言いました。
いいかね 娘さん
わしらのうちで いちばん強いのは北風
世界中を吹きまくる
わしの兄貴にたずねてごらん
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