白い国の姫君
(2)


少年は三番目の姫の言うとおり三日間鞭に耐え、
みごとトロルを退治しました。
そして、白い国の末の姫を娶り、白い国の王となったのです。

何年かが幸せのうちに過ぎましたが、
王は両親や故郷が恋しくなってきました。

妃はその願いを聞き入れましたが、
一つだけ約束をしてほしいと言いました。

「お父様のおっしゃることをだけ聞き、
お母様の願いは決して聞かないと」

「おまえとの約束だ。決してやぶりはせぬ」

やがて着いた我が家では、年老いた両親が大喜びしました。
海の魔物との約束通り、海にさらされたと思っていたのです。

何日かが過ぎ、母親は息子に、育て親の王に会う事をしきりにすすめました。
たっての願いに、若い王となった息子は、
妃との約束を破って王の城に行きました。

けれど、王は息子を迎えて喜ぶどころか、嫉妬の念を抱きました。
そしてこう言ったのです。

「すっかり立派になられましたが、あなたの妃に会えないのは残念。
まあ、わたしの妃よりも、賢くも、美しくもないでしょうが」

白い国の王となった息子は言いました。
「もしここに私の妃がおりましたら、その答えは明らかになりましょう」

その時、突然空気がゆらぎ、悲しい顔をした白い国の妃が立っていました。

「とうとうあなたは、約束を破ってしまわれたのですね。
裏切られたわたくしは、他の夫を持たねばならないのです」

罪の重さは若い王を打ちのめしました。
しかし立ち上がると、白い国を探すことにしました。

多くの土地をさまよい歩いて、ある丘で、森番に出会いました。
その男が角笛を吹くと、森の獣はすべて集まってくるのです。

「白い国を知らないか?」と、王は尋ねました。

「私は知りません。
ですが獣たちの中には知っているものも、いるかもしれません」

けれど獣たちすべてを集めても、知るものはいませんでした。
森番は王に、空の鳥を統べる、自分の弟を紹介しました。

けれど空の鳥たちも、白い国を知りませんでした。
そして鳥の男は、海の魚を統べる弟を紹介してくれました。

王は疲れた体を、魚の男のもとへと運びました。
ところが、魚たちも白い国を知りませんでした。