白い国の姫君
(3)


「これまでか!」と、絶望した王がくずれそうになった時、
1匹の年老いたカマスが来ました。
はるか遠くに住んでいるのを、呼び戻されて、今到着したのです。

王は物知りの老カマスにも、白い国はどこにあるか尋ねました。
カマスは答えました。

「知っていますとも。
わしはその国の料理番を10年つとめたのですから。
明日はまた、その国に帰るんですよ。
なにしろ夜は婚礼で、おおばんぶるまい。
白い国の妃が2度目の王を迎えるんです」

王は青ざめ、それを見たカマスは続けて言いました。

「王よ、この近くに住む喧嘩兄弟のところに行かれるがいい。
兄弟は100年もの間、帽子、外套、長靴をめぐって喧嘩しています。
それというのも、その三つを身につければ、
姿は消え、一瞬のうちに行きたいところに着くのでございます」

王は兄弟の家に行き、「誰の物か決めてあげよう。貸してごらん」と言い、
三つを身につけました。

たちまち王は雲の上。
「審判はこの次だ!」
声ばかりが空から降ってきました。

空を飛ぶ王に、北風が「王よ、どこへ?」と話しかけました。
王がこれまでの話をすると、北風は言いました。

「それでは王よ、わしは宮殿近くで強い風を吹かせ、
妃の婿を誘い出し、どこかに飛ばしてやろう」

城の奥で、夫となる人を悲しみにしずみながら、白い妃は待っていました。
やがて男が入ってきて、妃の手を取ります。

「妃よ」

聞き覚えのある声に、うつむいていた妃が顔を上げると、
愛する夫がいました。

「ようやく帰ることができた。
罪を悔い、許しを乞い、できればやり直すために」

「あなた、つらい旅で、犯した罪は消えました」

その夜、夜会が開かれ、かがり火が燃やされ、
炎は白い国を喜びの色に染めたそうです。